法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

公文書戦争 改竄のしっぽ

財務省国交省にある公文書の原本を改竄しようとして、現場の職員が気づいて防いだという報道には、また別の角度で驚かされた。
国交省文書こっそり差し替え=コピー示され失敗−財務省:時事ドットコム

財務省理財局の職員が昨年3月以降の時期に、国交省の室長級職員に対し、同省で保管する決裁文書に「最終版がある」と説明。4月下旬ごろ、国交省で文書を確認したいと申し出た。
 国交省職員は不審に思い「原本を部外者に触れさせるべきではない」と判断。原本のコピーを含む紙ファイルを用意し、同省会議室で閲覧させた。同省職員は立ち会わなかったため、室内で何があったか不明だったが、財務省の調査報告書によると、理財局職員はこのとき文書を差し替えた。

今回の内部調査がおこなわれるまで公表できなかったというのも、問題ではあろう。
問題視できたのは現場職員の判断だけだったのか、与党公明党に所属している国交相は、抗議をおこなわないことを表明したという。
国交相、財務省に抗議せず 「社会的制裁受けている」 - 共同通信

石井啓一国交相は5日、閣議後の記者会見で財務省に抗議しない意向を示した。財務省の行為を「大変遺憾」とする一方、「ある意味、社会的な制裁は受けているのではないか」と述べた。


しかしスパイ映画のような暗闘が省庁間でおこなわれていたことには、これまでリアリティを感じにくかったフィクションが現実化したかのような酩酊感がある。
『図書館戦争』KADOKAWA総合サイト
国の検閲組織と図書館がたがいに重火器で武装して、目的達成のため白昼堂々と戦闘をおこなう小説『図書館戦争』は、風刺にしてもデフォルメが強い社会設定だ。
ノイタミナ枠でのアニメ化は、Production I.Gのリアル寄りな作画が失敗と思っていた。映画は未見だが、素直な実写化にも向いていない作品だろうと想像する*1

しかし今回の省庁間の暗闘と露見するまでの時間を見ると、双方の上層で強権をふるう内閣が場当たり的という設定であれば、意外と成立してしまうのでは……とも思ってしまった。