法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

アニメ業界を題材にした漫画2作品、花村ヤソ『アニメタ!』、なつみん『おつかれ背景さん』

まずは『モーニング・ツー』で連載している新人アニメーターの業界奮闘記。
アニメタ! / 花村ヤソ - モーニング公式サイト - モアイ
複数の制作ラインをもつ大手会社に、狭き門をとおって就職できた少女の物語。ドラマが駆動してきたのはライバルの少女がピックアップされる2巻から。

ライバルは漫画家の親をもち、その2世として注目される。読み返すと第1話から存在が言及されているが、現場の職人はコネクションでねじこまれたことを嫌がり、絵は巧いが仕事になるかは未定と評されている。環境に助けられ、もしくは強いられた努力型のキャラクターだ。
それでもライバルの少女は順調にステップアップをつづける。ライバルが努力型として先行していることで*1、あくまで見どころもある情熱型だった主人公が、本人は自覚しないまま天才型へと移行していく。『ガラスの仮面』的な、あるいは社会人百合のような雰囲気もただよいつつある。
ライバルが登場したとたんに終わってしまった『上井草アニメーターズ』*2を今も残念に思っているので、『アニメタ!』は主人公とライバルの切磋琢磨まで描ききってほしい。
ちなみに、原型となった同人誌漫画もPIXIVで無料公開されている。
【オリジナル】「アニメタ生態学1(アニメーターの日常マンガ)」/「花村ヤソ@「アニメタ!」連載中」のマンガ [pixiv]


そして、公式にPIXIVコミックでWEB連載されているのが、現職の背景スタッフの証言によるエッセイ漫画。
おつかれ背景さん - pixivコミック | 無料連載マンガ
4頁前後の軽い内容で、つらい仕事をコメディチックに紹介する漫画として手軽に読める。絵はキャラクターもふくめてカッチリしていて、読みやすい。
背景美術といえば、著名なスタッフでも他の仕事に比べて情報が少なく、末端スタッフの状況は知る手段がほとんどない。背景の雲が誤認をまねかないようにする注意など、なかなか興味深いものだった。

*1:ここで第1話最終ページの連載時の煽り文句「努力ではどうにもならない世界」が味わいぶかくなる。

*2:渡辺とおる『上井草アニメーターズ』と、峠比呂『これだからアニメってやつは!』の、アニメ業界を題材にした漫画2本 - 法華狼の日記