法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

安倍晋三首相談話と前後して、外務省サイトから歴史認識にまつわるページが削除されたとのこと

8月16日朝にFNNが報じていた。諸外国の寛容ばかり言及して、批判には向きあおうとしない安倍談話を象徴している。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00300267.html

「さきの大戦に対する政府の歴史認識」は、「痛切なる反省と心からのおわびの気持ちを常に心に刻み」などと、村山談話を引用して説明していた。
これは、安倍談話の「子や孫の世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」との表現と、相いれないおそれがある。
関係者によると、安倍談話と食い違いが生じてはいけないと判断し、削除されたという。
外務省は近く、新たな説明文を掲載し直す方針。

現時点では河野談話村山談話*1の各ページは読めるものの、下部の「目次」からトップページに行こうとすると削除されている。
慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話
「平和友好交流計画」に関する村山内閣総理大臣の談話


この報道とてらしあわせれば、安倍談話の謝罪が過去形となり、連続性だけ認めている理由も見当がつく。
http://www.asahi.com/articles/ASH8G5W9YH8GUTFK00T.html

 我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫(わ)びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。

 こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。

安倍談話は過去の首相談話と連続しており、しかし比べれば後退といっていい。予想したよりも後退していないからといって、充分な首相談話になっていると評価することは難しいだろう。
一億総懺悔とばかりに全国民に国家の責任を押しつけることを前提にして、責任を問われつづけるべきではないかのように主張した理由も明らかになる。

 日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。
 しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。

村山談話から謝罪にあたる文言を引くと、まず具体的な問題について首相として謝罪し、歴史全体には国家として謝罪と反省をあらわし、その意思を国民にも共有してもらおうとする順番になっている。

いわゆる従軍慰安婦問題は、女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、私はこの機会に、改めて、心からの深い反省とお詫びの気持ちを申し上げたいと思います。
 我が国としては、このような問題も含め、過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、関係諸国等との相互理解の一層の増進に努めることが、我が国のお詫びと反省の気持ちを表すことになると考えており、本計画は、このような気持ちを踏まえたものであります。
 なお、以上の政府の計画とあいまって、この気持ちを国民の皆様にも分かち合っていただくため、幅広い国民参加の道をともに探求していきたいと考えます。

*1:いわゆる村山談話とは別個の、平和友好交流計画にまつわる談話。戦後50周年を記念する村山談話における謝罪も首相が主体となり、責任は国が負うものとなっており、国民に対して責任を求める文言はない。村山総理大臣談話