夏休みがはじまり、仲のいい5人で春野の実家に泊まることに。和菓子屋の手伝い、流しそうめん、花火遊び……
初めてのことばかりで面白がる海藤と、初めてのことばかりで足踏みする紅城。対照的なふたりが、少しずつ距離をちぢめていく……
主人公を中心にしたエピソードと見せかけて、前回につづけて新キャラクターを仲間として受けいれるエピソードだった。
海藤と紅城、どちらも高貴ゆえに浮世離れしているキャラクターであり、小手先だけ変えても全体の印象は似てしまう。そこでまず同じような反応を描いて、その後の対応が積極的か消極的かで区別していった。先に春野と知りあって関係を深めてきた海藤らしさと、敵として登場して罪の意識をかかえたままの紅城らしさ、それぞれの個性がちゃんと描けている。
春野家に泊まるため海藤が用意したスーツケースという小道具もおもしろい。最初に入っていたメロンには礼儀作法を学んでいるだろうにディテールが甘いと感じたものの*1、何が飛び出すかという楽しみを登場人物と視聴者が共有することはできた。最後に入っているものを謎にしたのも、いろいろ想像できる楽しみがある*2。
それにしても、どれだけ庶民と称していてもノーブル学園に子供を入れるだけあって根がブルジョアなんだな、などと思わされた春野家ではあった。
古い街並みが保存されている観光地で、商店街で昔ながらの和菓子屋をいとなみ、複数の客を泊められる部屋があり、流しそうめんができるほど庭が広いのは、どう考えても一般庶民ではない。時代の変化で年収が落ちている可能性は高いとしても、地域社会のコネクションは残していそうだ。