法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『新世界より』雑多な感想

終わってみると、「何を人間とみなして誰を人間とみなさないか」という基準に引きさかれた少年少女の物語だった。ちょうど入れかわるように放映されたオリジナルTVアニメ『翠星のガルガンティア』と同じテーマとルールといえる。
残念ながら、古典的で平易な語り口だった『翠星のガルガンティア』よりも評価や売上は低めだったが、逆転の理屈と最終回のやるせなさは『新世界より』がまさっていたと思う*1。表現がとがりすぎていると、やはり一部のマニアにしか受けないのだろう。
それでも少年少女の物語としては、思い出や仲間が失われていく痛みと、秘密を仲間で共有する愉しみが描かれていて、わりとジュブナイル冒険譚として正統的にできていたと思う。通過儀礼としての同性愛もふくめて。


作画演出はTVアニメとして意欲的な作りで、これもまた良くも悪くもマニア受けする方向性ではあった。
登場人物の成長に合わせてキャラクターデザインを少しずつ変え、記号的な描写は避けて、手描きアニメならではの魅力ある芝居をさまざまな場面で見せてくれた。台詞で説明せずに遠未来の社会を描いてみせようとした方針も素晴らしかった。


ちなみにGYAO!で配信中。すでに2話から7話までの配信は終了してしまっているが。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00570/v12093/

*1:もちろん語り口が平易であることもそれ自体が欠点ではない。