山田起生作画監督。手描きの味を活かした良い意味で荒い作画も多いが、単に修正漏れした粗いだけに感じるカットもある。クライマックスの折り紙サイクロンは力が入ったクローズアップ作画で、全てを飲みこんで奮起する心情をよく写し取っており*1、力のいれどころは間違っていないとは思うが*2。
今回の物語は、前回に提示されたテーマの再確認。「ヒーロー」とは何か周囲に示そうとする虎徹の姿で、主人公という立場を設定ではなく物語に乗せて示す。自身の思う正義のために悪を断罪しようとするルナティックを批判することで、同時にバーニーへの批判ともなる三角関係が、物語構成として美しい。バーニーが間接的な批判をくみとって、暴走しそうな心情を抑える心情がしっかり描かれた結果、ED後のCパートでサブタイトルを出す演出が滑っていない。
奇矯な折り紙サイクロンの行動が、自信のなさの裏返しという真相も面白かった。この作品のヒーロー達は今のところ裏表がほとんどない中*3、一人だけ変身ヒーローらしさを持っているわけだ。そうして過去の悔恨を乗り越えてヒーローとして再起した姿は、きっとバーニーの未来像でもあるだろう。
他にもヒーローの道を挫折したキャラクターなど、この種の作品でいつか描写すべきことを一つの物語としてまとめあげていた。特に目新しいことはしなくても、ていねいに細部を詰めていくことで良い物語となる好例だろう。