法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ひろがるスカイ!プリキュア』第43話  プリズムシャイン!心を照らして!

 立場がなくなったバッタモンダーは紋田の姿で、虹ヶ丘ましろがつくった新しい絵本を読むことになる。その絵本に出てくる落ち葉に自分をかさねあわせたバッタモンダーは虹ヶ丘を罵倒し、つい正体を口走ってしまう。そしてミラージュペンを奪ったバッタモンダーは、スキアヘッドによって怪物化するが……


 井上美緒脚本で、虹ヶ丘の絵本作家という夢の途中と、バッタモンダーという敵幹部の結末が描かれた。
 敵も味方も嫌悪して罵倒するバッタモンダーと、さまざまな苦痛をうけとめる虹ヶ丘はキャラクターとして好対照。基本的にふたりだけでドラマが進行しながら、ちゃんと価値観がぶつかりあうので自然と状況と心情が動いていく。作中作の絵本も、市内のコンテストでなら大賞をとってもおかしくなさそうなクオリティに達していて、説得力をささえている。
 それにバッタモンダーの悪役にしても無軌道な行動は予測しづらく、怪物化させられながら感情のままスキアヘッドに反旗をひるがえす展開は意表をつかれた。そこからバッタモンダーがさらに怪物化してプリキュアとして戦うことになるわけだが、直前にひとつのドラマが完結しているので無駄に引きのばした感じがない。


 それにしても、初回では異世界召喚プリキュアという方向での面白さを期待していたが、現在になってみると敵幹部が敵地をはなれて一般人にまぎれて暗躍している局面に面白さがある。
 基本的に幼い視聴者が憧れるようプリキュア側が裕福に設定されがちななか、せせこましく貧しい庶民的な敵の描写は貴重だし、少しずつ現地になじんで敵意を消していくドラマとして味わい深さもある。
 敵組織が総力をあげず原則として一話一体ずつ攻撃してくる定番の説明にもなるし、この方向性で作品フォーマットをつくれば楽しいかもしれない、と思った。