19世紀、ロシア貴族のオルキンがロシア皇帝にあたえられた艦船で北極探検へ行き、消息をたった。捜索は終わり、オルキンは北極探検ができなかったと思われたが、孫の少女サーシャは祖父の矜持を証明するため北極へ行こうとする。
有力者の説得はうまくいかず、家出して港についたが運賃を騙し取られてしまった。しかしサーシャは祖父の残した記録から捜索するべき地域は別だと確信し、港で生活しながら機会をうかがい……
2016年公開の、フランスとデンマークの共同製作アニメ映画。アヌシー観客賞などを受賞した。1時間半に満たないが、外国の長編アニメ映画としては一般的な尺。
2018年のTVアニメ『宇宙よりも遠い場所』の元ネタかもしれないという情報を知ってから視聴したが、たしかにその印象はぬぐえない。時代設定も映像表現も人間関係も物語展開も何もかも異なるのに、行方不明になった家族をさがしに少女が極地探検に参加するという最大の売りが同じなので、企画として酷似している印象がつきまとう。そう意識してみると、タイトルのスケール感なども似ているかもしれない。
とはいえ内容は全く異なるので、新鮮な気持ちで展開を予測できずに楽しむことはできた。極点にたどりつくことが大きな目標になること、そして氷を砕いて進むことがまだまだ船にとって命がけな時代だからこその活劇と、それを冷え冷えとした世界で展開するコントラストが印象的。そのような苦難のなかで貴族の少女がたくましく成長しながら、祖父と同じ目線にまで近づくドラマが展開された。比べると『宇宙よりも遠い場所』は日常の事業の延長として、大人の活動に子供たちが背伸びして臨席するドラマだったとわかる。
いしづかあつこ作品らしく真っ白いハイライトをつかった『宇宙よりも遠い場所』に対して、こちらは輪郭線が存在しない平面的なビジュアルがセルアニメとも3DCGアニメとも違っていて独特。まるで絵本がそのまま動いているかのような美しさがある。
濃淡を抑制した背景美術や3DCG部分とのマッチングも良く、シンプルな映像ながらカットひとつひとつが一枚のイラストのように楽しめる。デジタル彩色が一般化した現在は日本のアニメでも比較的に容易そうだが、漫画文化の影響が色濃いためか全編つらぬいた作品はまだないと思う。それでいて動きは少なめで日本のリミテッドアニメのスタイルに近く、違和感がない。
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