実話にもとづく同名絵本をNHKが30分枠でアニメーション化。2025年3月26日に放送され、7月末から8月頭にかけて複数回再放送予定。
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番組情報で広島原爆投下と関係があるという知識だけで再放送を視聴した。
作品としてはどこまでも当時に少女だった老婆の人生によりそい、なにげない日常にも戦争の影が落ちていることを孫の友人という間接的な視点で知る。
戦争を始めた主体、終わらせた主体はまったく画面に映らず、あくまで友人の祖母を見て非戦の誓いをあらたにする教訓的な内心のドラマにとどまっている。
友人と仲良くすることと非戦をかさねあわせるところなど、たぶん批判しようとすれば批判できるところは多いのだが、幼い子供に向けた入り口であり尺の短さもそのためだと理解するべきなのだろう。
アニメーションディレクターはホッチカズヒロで、基本的には絵本の絵をそのまま切り貼りしたり変形して動かす。絵が動くメタモルフォーゼを楽しめるのは誤解を恐れずにいえば原爆投下後のさまざまなイメージシーンくらい。
映像作品として驚いたのは途中で過去の広島の記録映像を挿入するだけでなく、過去の登場人物の写真が映し出されたこと。てっきり架空のキャラクターをとおして歴史的な悲劇をかいまみる作品とばかり思っていたので、いかにも絵本らしい絵柄の写真と実際のモノクロ写真がつながるカット割りなどで虚実がいりまじる不思議な感覚をおぼえた*1。事前情報をもっていなかったおかげで、アニメーション・ドキュメンタリーという手法を最も印象深く受けとることができたとは思う。
*1:誤解を恐れずにいえば映画『電人ザボーガー』に似ているとも思った。 『電人ザボーガー』 - 法華狼の日記