[twitter:@tamatowa]氏のツイッターで言及があった。
もちろん「練馬アニメカーニバル」自体は複数のアニメ作品を使ったイベントで、片渕須直監督のトークプログラムもタイトルで『名探偵ホームズ』をメインにしていたが*1、それにしてもひどい話だ。
練馬アニメカーニバル2014｜練馬アニメーションサイト
パネルを提供した「捏造慰安婦問題を糺す日本有志の会」ブログのレポートにもふれられていた。
検証 慰安婦パネル展 in 練馬文化センター開催レポート | 捏造慰安婦問題を糺す日本有志の会
ちょうど同じ日に同施設でアニメフェスティバルというイベントが開催されていたこともあり、
一般の今までこの問題に触れたことのない方が多く来場されました。
下記のエピソードは、おそらく『この世界の片隅に』が広島原爆投下を題材にしているためだろう。たぶんパネル展とは無関係だと思いたい。
宣伝のため看板を持って近くを歩いているとき
小学生の子供が
「アメリカ軍は日本に原爆を落としたから
日本のことを悪くいってるんだよね。」
「日本が悪くないと困るんだよね。」
といったことを自然に話しかけてくれた
ちなみに『この世界の片隅に』自体、少なくとも原作は、上記のエピソードに出てくる観点をゆるがす内容が描かれている。
『この世界の片隅に』そしてさらにその片隅に - 法華狼の日記
第二次世界大戦において、銃後の国民すら加害性を逃れえなかった。そのことに言及した作品の近くで、現場の直接的な加害を否認するパネルがかかげられていた。日本の無残な現状を象徴している。
展示されていたパネルは、tamatowa氏が言及している[twitter:@yuantianlaoshi]氏がいくつかとりあげ、批判していた。イラストを多用したカラフルなものだったようだ。
性風俗産業で働いているかどうかで、その自由意思を無視して始まる「フローチャート」に驚かされる。
強要されたり騙されて仕事につくこと、性行為を強要されること、賃金や待遇が充分でないこと、退職や転職がおこなえないこと、脱出や通報を必要とする状況にあること、それらひとつひとつが問題視されるべきだろう。ひとつの選択肢でパネルの定義する「性奴隷」に分類されなくなるとしても、人権問題であることに変わりない。
「さて慰安婦たちは？」という解説部分を見ても、軍票という特殊な支払い方法や支出を無視した高収入説に、軍人との力関係には無力だった拒む権利、未成年も募集していた新聞広告など、さまざまな問題点が指摘されてきた蓄積を無視したものだ。待遇や転職については言及すらない。
2-4 業者を処罰？ | Fight for Justice 日本軍「慰安婦」―忘却への抵抗・未来の責任
『京城日報』の方は、年齢17歳以上23歳まで、勤め先は「後方○○隊慰安部」、月収は300円以上となっています。募集しているのは今井紹介所という所で、紹介業者（人身取引業者）です。『毎日新報』の方は、年齢18歳以上30歳までとなっており、月収は書かれていません。募集しているのは許氏とあるので、朝鮮人の紹介業者でしょう。
まず、月収300円はとても高収入だというのですが、これは人身取引業者がよく使うきたない甘言の常套（じょうとう）手段です。それを事実だと信じるのはどうかしているのではないでしょうか。1937年3月に大審院で有罪が確定した業者の場合ですが、1932年にすでに月収は200円から300円になるといって長崎の女性たちを誘拐したという前例があるのです。
また、婦人・児童の売買禁止に関する国際条約が禁止している21歳未満の女性の国外移送も公然と行われおり、朝鮮総督府もそれを認めていたことをしめす証拠となる新聞広告であることも重要です。
「借金作って不本意で風俗嬢になる子もいるけど それって政府が謝ること？」というキャラクターの台詞も、政府が要請して政府機関の敷地内で風俗産業を出店させ、政府関係者が風俗産業を利用していれば、それは政府が責任をもって謝るべきこととしか思えない*2。
ただ、性風俗産業の従事者が自由に退職できない時に「性奴隷」とみなしうると認めるだけでも、少しは頭を使っているパネルかもしれない。もともと売春婦であれば従軍慰安婦にしても問題ではないかのような主張も、今の日本では大手をふって歩いているのだから*3。
*1:一方は未完成だし、知名度が段違いなので、といった事情もあろうか。http://animation-nerima.jp/event/carnival/carnival2014/contents/katabuchi/
*2:一般論として、あらゆる社会問題の犠牲者に対して政府は責任を負うという考えもあるが、ここでは省略する。
*3:たとえば池田信夫氏らは、金学順氏が妓生であったことが重要な意味を持つかのように主張している。http://d.hatena.ne.jp/Apeman/20130724/p2
