法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『悪夢探偵』

悪夢を見せられた人々が異様な自殺を行う怪事件に、他人の夢へ入る能力をえた男が立ち向かう。塚本晋也監督が、自身の小説を原作として映画化したとのこと。
2007年の作品で、VFXとしてGONZO REVOLUTIONがクレジットされているところが今になると懐かしいというか。


もう少しダークヒーローやアンチヒーローな探偵像を予想していたのだが、探偵は多くの人間から煙たがられるばかり。本人も探偵まがいのことなどしたがらず、むしろ嫌気がさして怪事件とは全く別個に自殺をこころみたりする。もっとも、これはこれで一つの典型的な名探偵像ではあるか。
美術は粗なく雰囲気が出ている。悪夢場面に特撮らしい特撮を用いず、空想的な出来事も発生せず、あくまで現実的な風景において逃れられない恐怖を描く方針も、「悪夢」というものをよくとらえていた。
娯楽ホラー作品としては手堅くまとまっている。せいぜい問題に感じたのは、犯人像がつまらなくて監督の怪演しか印象に残らないことや、クローズアップの切り返しが多い会話が気になったことくらい。