法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『エウレカセブンAO』第十七話 ラ・ヴィ・アン・ローズ(episode:17 Johansson's book)

水島精二がコンテとして初参加。前作での参加は一回だけだが、担当話が劇場版で再使用されてもいた。
あまり演出家として評価されることは少ないが、見づらくならない範囲で面白い構図や演出を見せることが多い。


前回は世界が改変されたことによる不安感を持たせたまま終わったが、今回も市民団体*1妨害工作に興奮した仲間を鎮めようとして事故死する人間を描いたり、さまざまな思惑が入り乱れて、さらに先行きが見えない。視聴者の視点で考えても、ひとつの決戦を切り抜けたがゆえ、物語の落としどころがわからない。
しかし物語を通して世界改変の経緯と法則が解明されていき、終盤では主人公へ一つの救いが訪れる。全体としては不明瞭な部分を多く残しているが、謎を広げながら畳んでいるので、見た時間分の納得はえられた。
また、ある程度までトゥルースの来歴がはっきりした。先の話は知らないが、無垢な救世主が狂信者に育てられたため、思想背景が空虚なまま超常能力をふるうようになったという真相だろうか。

*1:作中人物の台詞で、現地の人間ではないらしいことが語られる。一方で後半に「御用学者」という言葉が台詞で用いられたり、しみじみ會川脚本らしい時事問題の利用だと思った。