法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『エウレカセブンAO』第十二話 ステップ・イントゥ・ア・ワールド(episode:12 heaven and earth)

増井壮一コンテ。メタ台詞も使いつつ無重量状態をそれらしく描写できていたし、自由に機動できない軌道上戦闘のもどかしさ、全てのキャラクターが人事をつくす姿、そうした段取りがきちんと描かれ、ロボットアニメとして必要な現実感があった。
危機が避けえないものだと示すからこそ、ただ一つの奇跡が映える。その奇跡がありうる世界設定だということも、きちんと作戦前に描いていたので納得感があるし、急展開でも理解が追いつく。


そして最後に現れた「エウレカ」。
外見や人格が変わっても愛せるか、そもそも人格や記憶が異なる相手を同一人物と考えていいのか……そうして物語の定番を懐疑していく流れは、前作TVアニメから続いているテーマといえるだろう。
このテーマにロボットアニメという設定が必要かというと、前作はうまく機能していなかったと思う。劇場版はTVシリーズの作画を再編集して別人格を描くという趣向に加えて、ロボットにも人格を持たせることで効果をあげていた。
そして今作では、主人公の外見が変わったり母が髪を染める描写は良かったが、姿を変えるトゥルースが動機を隠しすぎていてロボット戦との関係が不明瞭だった。しかし今回は、ようやくトゥルースが内面をのぞかせた。加えて、ロボットが搭乗者のキャラクター性を示してきたがゆえに、記憶の母とは違う「エウレカ」という印象を強めた。
前作との関連と断絶を同時に示す、1クールの折り返しにふさわしい内容だったと思う。