法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『たまゆら』ふたつめ:「水色の小さな切符、なので」

アニメワンでの無料配信を見た。
http://anime.biglobe.ne.jp/title/3974/
OPから「ひとつめ」、アイキャッチ、「ふたつめ」そしてEDで終わりという構成。可愛らしいデフォルメキャラクターのアイキャッチも印象的。


そっけないカットを重ねていって日常性を感じさせつつ*1、全体を通して見た時にバランスが取れているという佐藤順一コンテの特色が出ていたが、作中に多数の写真を登場させることで構図を決めたカットも頻出するところが面白い。マンガやアニメらしい記号的な演出を多用しながら、人工的と感じさせない。
映像としての見所は日曜日に写真家へ会いに行く過程に集中している。他の場面と比べてラフに描かれたキャラクターが全身で演技し、画面の情報量が上がる*2。電車内の全体がゆれているカットなど、アニメーションとしての面白味があるし、振動が激しい地方列車らしさも出ている。
男を恋愛対象となりうる存在として登場させつつ、女性同士の思慕と関係性で物語を引っぱっていく展開にも作風が現れていた。描写に反する現実性は後景へ追いやったり無視しているのに、人工的な物語と感じさせない。日常を切りとったように見せているから、それほど感情の起伏がなくても楽しめる。


「ひとつめ」の感想はこちら。
『たまゆら』ひとつめ:「大好きがいっぱいの町、なので」 - 法華狼の日記

*1:Fixが少なくてズームやパンを多用し、かといって被写体を客観視するドキュメンタリータッチでもなく、一見すると普通の安っぽいTVアニメと似た印象を与える。

*2:荒川真嗣の原画としか思えないが……