法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ボルテスV レガシー』

 宇宙の彼方から地球へ侵攻したボアザン帝国は、超技術の飛行兵器で各国の都市を蹂躙する。指揮官の王子ザルドスは、勝利を確実なものとするため獣人型の巨大ロボットまで投入した。
 一方、侵攻を予期して孤島につくられた基地に若い男女5名があつめられる。不充分な訓練しか受けていない彼らだが、5機の飛行メカでボアザンの兵器に抵抗。さらに合体してボアザンの巨大ロボットと格闘戦を繰り広げる……


 日本アニメ『超電磁マシーン ボルテスV』をフィリピンが実写リメイクした映画。新型コロナ過をへて2023年に放送された全90話の序盤を再編集し、日本公開時に追加撮影をほどこしたという。

ボルテスV レガシー

ボルテスV レガシー

  • ミゲル・タンフェリックス
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 恋愛っぽいにおわせは進展しないし、親がいない乗組員のドラマは背景ですまされてキャラクターを深掘りしないが、あくまで長期シリーズの序盤と理解するべきなのだろう。


 俳優はけっこう良い顔をそろえている。セットや衣装の質感は重厚で、原作からの適度なアレンジは見事だが、照明や撮影は安っぽい。ドラマを凝縮したことで侵略シーンの見せ場は多様だが、やはり合成は軽めでTVムービーやニチアサヒーロー番組くらいのクオリティにとどまる。
 さすがにボルテスVの飛行メカが登場してからはぐっと画面の精度があがるが、PANやフォローといったカメラワークをほとんど使わないので、VFXの出来のわりに空戦で空間の広がりがとぼしいことは残念だった。


 しかしボルテスVの合体から一挙に画面のクオリティがはねあがる。原作のメカデザインを尊重しながら合体シーンに説得力があるし、機械がパズルのように時間をかけて組み合わさる映像はフェティッシュで見ごたえあった。
 敵ロボットやボルテスといった巨大ロボットのデザインも素晴らしかった。玩具化を優先したように箱を組み合わせたような1977年のデザインを踏襲しつつ、微妙なカラー調整で実写の風景になじませ、マッシブなフォルムも力強い。

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 初報ではディテールが細かすぎると思ったが、動いているところを視聴すると問題を感じなかった。人体を基調としたフォルムで配色も明確なので、今どのような動きをしているか見ていて理解できる。
 原作にあわせて足が長めで、日本のロボットデザインらしさがあるが、実写では格闘や歩行に説得力を出しづらそう。それなのに敵ロボットとの格闘戦も見ごたえがあり、足が地面を滑っていると感じさせる問題もなく、ギリギリをかすめる手足の動きだけで緊張感のある攻防を表現できていた。
 敵ロボットとの戦闘はおおきくわけて2回だけだが、看板が映りこみ足もとに自動車があって巨大感が表現された都市部での初戦と、基地近くの荒野に陽動されての我慢比べとで、画面にも状況にも変化をつけて飽きさせない。
 荒野での戦闘は基地が敵本隊に直接攻撃される緊張感に、乗組員の母親をめぐる葛藤も追加されて、ドラマとして予想外の厚みもあった。母親が傷ついた経緯と映像のスケール感の弱さや、最終的に古典的すぎる自己犠牲ドラマになったことは残念だったものの、巨大ロボット同士の戦いを最大の見せ場とする娯楽活劇としては充分に見ごたえあった。