法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『機動戦士ガンダム00』MISSION-21 滅びの道

〜作内外ともに詰めが甘い回〜
過去回で何度も勝手な単独行動を取っていたので、宇宙にいるはずの主人公が唐突に地上をさまよいマリナ姫と出会う場面も、途中まで夢とは思わなかった。良い引っかけと考えるべきなのかどうか……これまでの雑さを覆すほどの表現とはとうていいえないとは思う。
むしろ単体で見れば、キャラクター作画はよく整っているし、ロングショットで夕空を大きく映す構図も悪くない、良いイメージシーンなのだが。


終盤の逆転劇は、雰囲気や主人公の情動は悪くないものの、伏線が多すぎて緊張感がそがれている。
主人公が逆転の芽を知らないかのような描写も不自然。GNアームズのタイミングはともかく、システム関連については知っておくべきだろう。伝えるだけの時間的な余裕がなかった、あるいは内通者に知られることを恐れていた、といった描写を入れるだけで良かったのだが。


今回の映像は、やや統一感に欠けていたが、部分的な見所は少なくなかった。
宇宙船内は広角レンズを意識したレイアウト。地上の戦闘は雲の影が地上に落ちる絶妙な構図、背景美術が楽しめる。
宇宙戦も、比較対象物が存在しない舞台なりに空間の広がりを見せようとしている。平面宇宙ではなく、上下の概念も取りいれている。TVゲーム的な動きも物珍しくて面白い。特に終盤におけるメカの書き込みは、物語の重要性もあってさすが手間をかけていた。
しかし絵コンテがヤマトナオミチ、角田一樹、ミズシマセイヂの三人。原画の人数も『00』らしからぬ多さ。かなり制作が逼迫している様子がうかがえる。


相応に作戦を立てていながら、映像で表現しきれていない面も目立った。
たとえば、ガンダムが基地に隠れたまま強力な火器で自ら壁を破り、空中で油断している遠距離の敵を撃破する場面。きちんと敵側が警戒してガンダムが活動していないことを確認し、「ガンダムは隠れているか、こちらに気づいていない。まだ攻撃してこないだろう」などと推測する描写を入れるだけで、互いに知恵を使っているという雰囲気が出せた。
宇宙戦でも、モニター映像を活用すれば、遠距離では隊列を組んで火線を集中し、近距離では散開して翻弄するという戦術が、よりわかりやすくなっただろう。