法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

セクシャルマイノリティを観察する物語と、その反転としての百合漫画『百合オタに百合はご法度です!?』


クラスメイトでナマモノ百合創作して「私は観葉植物ですからおふたりはごゆっくり~!」とか言ってる20年前のフィクションの女の、「私はあなたたちのことよくわかってるけど、あなたたちは私のこと絶対にわからないで」みたいな傲慢さが突き崩される百合モノってある?あったら読みたい

上記ツイートを見かけて、ちょうど最近に全3巻で完結した『百合オタに百合はご法度です!?』を思い出した。

その主人公は「傲慢」とはニュアンスが少し違うが、女子校にかようことになって周囲のささいな行動から「百合」を勝手に見いだしていく。
しかし主人公は観察者に徹しようとしながら、その「妄想」のノイズとなるギャルを排除しようとして、逆に人間関係に巻きこまれていく。


そこまでは良くも悪くも普通のライトな百合漫画だと思っていたが、終盤になって興味深い発展を見せられたことに感心した。
軽いネタバレになるが、百合のようなフィクションがマイノリティの消費であると同時に、抑圧されたリアルからの逃避にもなり、さらにはマイノリティの救済になりうる両義性が描かれたのだ。
さらに、いかにもなギャルらしい登場人物が主人公の妄想百合世界に介入しつづける背景に、観察者としての主人公が原因という反転をもってきたのは、メタ漫画をさらにメタにひねった面白味があった。