法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『林修の今でしょ!講座』今夜限りの超豪華な特別企画!今、アニメでしょ!~プロが選ぶ!日本のアニメの歴史を変えたすごいアニメ14~

名物予備校講師の林修が生徒役となって、各界の有識者から学ばせてもらう学習バラエティ番組。今回は2時間SPで最新日本のアニメ作品について学ぶ。
www.tv-asahi.co.jp
学習バラエティ番組という枠組みであれば、なつかしアニメをいっさい出さず、マニアックな話題をきちんと提供できるのだなという驚きと感心があった。
テレ朝POST » 日本を代表するアニメのプロが集結!キスマイ宮田俊哉「創造神の集まり」と大興奮

今回、人気アニメに携わるプロのクリエイター76名に「アニメの歴史を変えたと思うスゴいアニメは?」というアンケートをおこない、厳選された14のアニメを一挙公開! その14作品の“歴史を変えた”ポイントを徹底的に紹介していく。
さらに、スタジオには日本を代表するアニメのプロフェッショナル8名が集結!
ガンダム』のイラストや『マクロス』シリーズのメカデザインも務める天神英貴、『プリキュア』シリーズの生みの親である東映アニメーションのエグゼクティブプロデューサー鷲尾天、『マクロス』『アクエリオン』シリーズの総監督の河森正治、『崖の上のポニョ』『借りぐらしのアリエッティ』などジブリ作品を数多く手がける音響演出の笠松広司など、そうそうたるクリエイターたちが勢揃い。

ただし、サブタイトルなどで歴史を変えた作品として紹介したのは、正確さを欠いていた。どの作品も歴史を変えるには良い意味で新しすぎる。
さまざまな最新アニメをとおして、現代日本の代表的なアニメ技術を説明するのが実際の番組コンセプトに近い。


そうコンセプトを理解して見れば、演出や作画といった技法ごとの作品選定もよく考えられている。
代表的な動かさない日常演出の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』に、まわりこむカメラワークで人物を画面中央に置きつづける戦闘演出の『呪術廻戦』。演出と作画の両面で、よく動き見映えするアクションの代表として『進撃の巨人』。
アニメーターという代表的な役職も、いくつかの役割りごとにわかりやすく紹介。シンプルで見なれたデザインだからこそ微妙な線の修正の重要度がわかる『ドラえもん』で作画監督を。変身という本編よりも映像に力を込めたシークエンスで手描き作画のすごさを見せる『トロピカル~ジュ!プリキュア』で原画を。もちろん自社放映作品ということも選ばれた理由だろうが、それぞれ説明に適した人気作であることも間違いない。
この流れならば、手描き作画のように3DCGをデフォルメする技術の説明のために『えんとつ町のプペル』を、背景美術の珍しいコンセプトとして『GREAT PRETENDER』を選んだことにも不思議はない。『君の名は。』で逆光などの撮影処理に注目したり、『風立ちぬ』で人の声をつかった音響をピックアップしたり、大ヒットした大作はあえて細部に目を向けることも理解できる。


ゲスト有識者では、くりかえしの「納品」ネタで笑いをさそいつつ、変身メイクを女性の自己実現と語る鷲尾天プロデューサーが良かった。河森正治も濃いキャラクターや変形モデル実演が嬉しい。
紹介されたアニメスタッフでは、『ドラえもん 新・のび太の大魔境 〜ペコと5人の探検隊〜』の3DCG紹介で八鍬新之介監督が登場したことに驚いた。2019年の映画『ドラえもん のび太の月面探査記』以降は名前を見なくなり、ひょっとして業界を引退したのかとも思っていたが、まだシンエイ動画に席を置いているようだ。ひょっとして来年の映画監督として宣伝に登場する予定だったのだろうか。新型コロナで今年の映画が延期となったため、通例となった次回作の情報公開もできなくなり、謎の登場*1になったような気がする。

*1:石のような質感で柔らかく動かすCG技術はもはや一般的なので、数年前の映画をわざわざ紹介する必要は感じなかった。