幼い忍者のたまごを育てる学校の教師、土井半助。優秀で温和な実力者。対抗心をもったタソガレドキ忍者の諸泉尊奈門から挑戦されるが、圧倒的な実力差でいなしていく。しかし予想外の事故をへて土井は姿を消した。
そして行方不明の土井の捜索に上級生がかりだされ、タソガレドキ忍者から謝罪として下級生向けの教師が派遣される。同時期、有能な軍師をえたドクタケ忍者が周辺への侵攻の準備を整えようとしていた……
2024年12月に公開された劇場版3作目。2作目*1につづいて藤森雅也が監督をつとめた。サブスクリプション見放題としてはプライムビデオが独占配信中。
先ごろ亡くなった芝山努に薫陶を受けた亜細亜堂のスタッフらしく、シンプルなようで巨大スクリーンに映える奥行きあるレイアウトが素晴らしい。シンプルなキャラクターデザインだが顔の立体感もていねいに作画されているため、クローズアップしたカットでも平面的にならない。
アクションも期待以上に充実している。序盤の土井と諸泉の決闘からして、ただ良好な作画で動くだけでなく、ほとんと何もない草原でも可能な限り策をまじえながら立体的に動き、突然の出来事にも冷静に対処していく。
2作目のような全面戦争こそないが、凄腕の忍者による集団戦を描くにあたって、きちんと全員に説得力ある殺陣をつけて動かしつづけていることに感心した。敵地で生活している一般人も必要なだけ動かし、気になるような止め絵がない。
原作は脚本をつとめた坂口和久が2013年に書いたオリジナルストーリーの小説だという。
どうしてこのような状況になったのか観客にとっては自明だが、異なる思惑、異なる技量の集団が各個に情報をあつめて少しずつつきあわせ、全体像が明確になっていく群像劇としてよくできている。
戦争そのものよりも、その準備段階の衝突から描くことで、兵站を重視した地に足のついたさぐりあいを楽しませつつ、生活の余裕が戦のために奪われていく痛みも実感的に描く。
そのように重層的で重みを感じさせる群像劇だが、偶然の事故で始まった悪夢は、それこそ覚めるようにあっさりと消えていく。記憶がもどるとともに作品が弛緩し、急激に子供向けらしい甘い映画になっていく。それは悪いことではない。
