法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ONE PIECE HEROINES』

 オリジナルストーリーのノベライズ短編集『ONE PIECE novel HEROINES』の一編を、普段とは異なるキャラクターデザインを起こして、スペシャルなスタッフでアニメ化。小島崇史がキャラクターデザインと作画監督をつとめた。

 上記のようにプライムビデオ見放題に入っているが、7月12日23時15分までTVerで完全無料配信中。
ONE PIECE HEROINES 7月5日(日)放送分 ONE PIECE HEROINES|アニメ/ヒーロー|見逃し無料配信はTVer!人気の動画見放題
 戦闘をおこなうキャラクターでもハイヒールをはきつづける漫画に対して、そもそも戦うための特別製のハイヒールとして位置づけて、その破損からはじまる女性靴職人とナミとの出会いを描く。


 TVSPのコンセプトとしては、インターネットでアニメ愛好家が投票する2024年話数単位ベストテンで6位に選出*1された『ONE PIECE FAN LETTER』と同じだが、さらに発展を見せている。

 まず『ONE PIECE FAN LETTER』だが、主人公を中心とした作品世界をゆるがす大事件に、たちあった名もなき人々の視点で描いた。通常とは異なるキャラクターデザインを起こしつつも、劇場版の『オマツリ男爵と秘密の島』から『冬に咲く、奇跡の桜』で試されたスタイルの延長ではあった。手描きの魅力を出したブレのある描線、直線のない背景美術。描きこみをせず、影もほとんどなく、色と線のアニメーションで魅せる。しかし目鼻立ちのバランスや頭身などは、かなり原作に忠実ではあった。
 一方この『ONE PIECE HEROINES』は、主人公ルフィたち男性陣はまったくといっていいほど登場せず、ほとんど女性キャラクターだけのゲストキャラクターとの小さな邂逅と事件だけ見せる。キャラクターデザインは頭身が高い絵柄の原作よりもさらに高く、極端に首が長く、描線は人形のように硬質。そこで瞳を小さくすることで、頭身があがった成長後も顔立ちは幼いデザインを残す原作とくらべて、ぐっと大人びた姿に見える。原作は美少女と美女と老婆と醜女しかいないと揶揄されがちだが、逆に同世代の美女たちだけで画面を構成することで、その差異から記号をこえた美女ごとの個性を映像化してみせた。
 最初から最後まで靴*2をモチーフにすることで物語の軸がぶれなかったし、『ONE PIECE FAN LETTER』につづいて異能をもたないナミだからこそ他者の協力を必要とする地に足のついたドラマとなった。予告で期待したとおりの傑作。

*1:「話数単位で選ぶ、2024年TVアニメ10選」の投票集計結果の雑感 - 法華狼の日記

*2:ファッションにはうといので評価しづらいが、素人目にもオシャレな意匠に見えた。