法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

「たくさんいるとは3人のこと」「承知しましたといったが確認するとはいってない」「広く募ったが募集してない(new!)」

桜を見る会の招待客を実際には募集していたのではないかという疑惑に対して、安倍晋三氏が答弁した。
安倍首相が珍答弁 「募っている」けど「募集」ではない:朝日新聞デジタル

首相の地元事務所名で、同会を含む観光ツアーへの参加を募る文書が地元有権者に送られていた問題で、共産党の宮本徹議員が文書を示しながら「この文書は見たことがなくても、募集していることはいつから知っていたのか」と追及した。すると、首相は「私は、幅広く募っているという認識だった。募集しているという認識ではなかった」と述べた。

そもそも功労者が呼ばれて顕彰されるという建前だからこそ、公金が支出されているわけだ。募集と募るとで言葉のニュアンスは微妙に違うとしても、反論になるほど異なるわけではない。


なお、「承知しました」とは、昨年11月の野党合同ヒアリングにおける調査依頼への官僚答弁。
野党合同ヒアリングでの官僚の不誠実な対応に街行く人も呆然<国会PV緊急街頭上映> | ハーバー・ビジネス・オンライン

今井雅人議員はその場で「その方に、(招待番号の)60から63の違いを確認してもらえませんか?」と要求した。それを受けて内閣府の酒田元洋官房総務課長は「承知しました」とはっきりと言っている。

内閣府の酒田元洋官房総務課長は「当時の担当者が特定できるということは申し上げたが、確認をするというところまで確約したかというと記憶にございません」とニヤけながら答えたのだ。
 そしてさらに続けて、「わかりましたというのは、そういうご趣旨は理解しましたが、必ず確認をしてくると承諾したわけではありません」と言い放ったのである。

問題となったのは、桜を見る会の招待状番号の「60」が総理の招待枠ではないかという疑惑。
追及が長引いているのは野党の責任ではなく、政府や官僚が無責任に逃げ回っているからに他ならない。


また、「たくさんいる」とは、2015年の安保法制で菅義偉氏が主張したこと。
安保法制「違憲ではない」わずか3人 「報道ステーション」の調査で憲法学者151人が回答 - ねとらぼ

 安保法制を巡っては、現在国会で激しい議論が続いており、今月上旬には菅義偉官房長官が「(安保法制を)合憲とする憲法学者がたくさんいる」と発言し、その後、長尾一紘氏(中央大名誉教授)、西修氏(駒沢大名誉教授)、百地章氏(日本大教授)の3人を挙げていました。

上記で引用されているテレビ朝日アンケートでは151人中3人だけが合憲派で、日本語の「たくさん」という言葉のニュアンスとは異なっている。
そもそも、合憲派と期待されて呼ばれた別の学者が、実際には3人とも違憲派だったという発端も味わい深い。
安保法制、3学者全員「違憲」 憲法審査会で見解:朝日新聞デジタル

自民党など各党の推薦で参考人招致された憲法学者3人が、集団的自衛権を行使可能にする新たな安全保障関連法案について、いずれも「憲法違反」との見解を示した。

つまり菅氏をはじめ、安倍内閣は急に変調をきたしたわけではない。
こうした日本語を破壊し対話を不可能にする無責任な答弁を、有権者が許容し支持して今にいたっているのだ。
辞書を、言葉をなんだと思っているのか | 毎日ことば

「そもそも=初めから」という認識も一方的だと思います。しかし、「それとは違う意味なのですよ」と指摘するのはいいのですが、「辞書で念のために調べた」として「基本的にという意味もある」と答弁したのは失敗でした。

そう明記した辞書は見つからず、代わりに政府が答えたのが大辞林の「どだい」でした。これは少なくとも「辞書には基本的にという意味もある」という答弁が虚偽だったことを示すものでしょう。