法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

裁量労働制の不適切データをめぐる自民党の橋本岳氏の主張を読んで、今の与党に国政をまかせるべきではないという心象が増した

野党側にデータを提出した時に厚労政務官だった人物の主張として、すでに共同通信に報じられている。
「野党が執拗に求め作成」と投稿 不適切データで自民・橋本岳氏 - 共同通信 | This Kiji

橋本岳厚労部会長が「(資料を)執拗に要求したのは野党で、繰り返し問い詰められ、(厚労省が)やむを得ず作成した」と釈明していることが8日分かった。

8日、共同通信の取材に「明らかに事実と違うとか、不適切なことがあれば教えてほしい。真摯に受け止めて対応していきたい」と述べた。

上記の報道を受けて橋本氏は訂正したらしいが、共同通信が指摘したところまで読む以前に唖然とするしかなかった。
橋本 岳 - (5月10日夕方追記) この記事に関し、上西充子教授より下記等のツイートにて、ご指摘をいただきました。... | Facebook

「意図された捏造」の論拠は、ざっくりと

1)ウッカリ間違いとは考えられないくらい、酷く不適切な統計の取り扱いである
2)不適切な取り扱いが、全て裁量労働制を擁護する方向性を指してツジツマを合わせている
3)今年の予算委での、総理や加藤厚労相らの答弁にて、不適切さをなかなか認めなかった

の3点に集約されるように思われます。

2)については、誠実な態度ではないという批判は僕も含め甘んじて受けますが、政府として裁量労働制の拡大を目指すという閣議決定が既にある以上、厚労省の関係者がそうした方向になるといいなと思っていたことそのものは不思議ではないのであり、それが「誰かが意図した捏造」という証拠になるかというと、決定的ではないでしょう。

「忖度」の話題が今もつづいている時に「なるといいな」……ついつい「勘ぐれ」を思い出してしまった。
NHKよ、政府が右と言っても左と言える存在であってくれ | 森達也 リアル共同幻想論 | ダイヤモンド・オンライン

ETV特集シリーズに対して政治介入を行ったとして朝日新聞にスクープされたのは、今は故人となった中川昭一経産相(当時)と、現在の安倍首相(当時は内閣官房副長官)だった。番組のプロデューサーだった永田浩三(現武蔵大学教授)によれば、放送総局長を呼び出した安倍現首相は、「ただではすまないぞ。勘ぐれ」と言ったという。この「勘ぐれ」は他にも複数の人が証言している。


いずれにせよ橋本氏は本題について、官僚らは意図した捏造をおこなう悪人ではなく、ただの無能な働き者であったという立場を選択したいようだが……
労働にかかわる議論で不適切なデータを提示して根拠とした与党と、そのデータが不適切と見抜くことができて労働者を守った有能な野党ということになる。
与党が邪悪ではなく無能だっただけだとしても、これでは野党を支持したくなる。