法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『聖闘士星矢Ω』第 26 話 追憶と復讐!闇の遺跡の罠!

コンテ担当として追崎史敏を作品に初めて迎え、脚本は第14話や第21話で聖闘士が自分と向きあう物語を担当した横手美智子
前回に続いて、闇の遺跡で過去に向き合わされる物語だが、予想以上に踏み込んだ描写をして、上々の出来だった。


初期から語られていた、蒼摩の父をソニアが殺したという因縁。年齢設定から考えて、暗殺した当時のソニアは子供だったのではという謎を、ちゃんと物語として昇華した。親から命じられた子供が初めて敵を殺したという内容を正面から見せて、殺された者だけでなく殺した者の痛みを描く。早朝とは思えない激しい流血と、返り血で仮面が涙する姿が印象的だった。
また、蒼摩が一度は弱体化しかけたキャラクターだからこそ、奮闘と成長が映える。連続活劇で序盤に主人公の仲間となった者は、戦いが激しくなるにつれて成長描写をさく余裕もなくなり、前線から脱落しやすい。それがソニアという一つの因縁を初期から設定することで、最初は対峙すらしなかった第11話から、実力的に伍した第18話、精神的に超えた第23話と、はっきりした成長を見せることができた。過程を踏んでいるから、他の仲間と違って闇に呑まれず、ソニアを救った行動にも説得力がある。第18話で仮面にヒビが入っただけという描写も、今回では片目が露出したことで納得。今後も少しずつ素顔が現れる展開になるのだろう。
あと、結末で光牙に視点を移して、本当の属性は光ではなく闇だという引きも良かった。肩すかしされるかもしれないが、出生について明確な描写のなかったことも確かだ。