法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

尊王主義者には不都合な現実の天皇家

現在の天皇戦後民主主義の薫陶を受けた人物だとか、小和田雅子氏が2ちゃんねるの既婚女性板で云々*1という現在に繋がる、歴史の話。


現在の天皇家北朝から続いている。事実上、南朝は絶えたと考えていい。しかし南朝正統論は戦前から始まり、現代にも根を残している。戦前から一貫して、実在する天皇家ではなく、過去に消えた幻想の天皇家を求めている*2天皇を崇拝すると称しながら南朝を正統と主張する態度を素直に解釈すれば、現在の本物の天皇家が不都合なのだろう。
実際に尊王主義者は、しばしば「天皇の御心」を身勝手におもんばかり*3、他者を批判する口実に使ったりする。
「週刊新潮」(平成23年4月14日号)の記事について - 宮内庁

週刊新潮4月14日号に「両陛下『お見舞い』に胡坐で応じた避難者に誰か礼儀を」との見出しの記事があり,「男性の被災者で何人かが,両陛下を前に胡坐をかいて言葉を交わしていたのです。いずれも比較的若年層の人々でしたが,陛下が膝を折ってお話になっているにもかかわらず,そのままの姿勢でした」と述べられています。

天皇皇后両陛下は日頃から側近に対し,身体の不自由な人,あるいは何等かの事情により正座のしづらい人には決して無理をさせないようにとおっしゃっています。

また,ここに掲載されている写真の一つの人は,日本で勉学中のネパール人であったと聞いています。避難中というつらい状況下,また外国人の習慣の違い等を考えれば,両陛下も無理して正座をしなくてはいけないとはお考えにならないのではないかと思料します。

要するに、威を借るために張子の虎を欲しているわけだ。いっそ南北朝時代高師直*4にならい「生きている天皇は流して、木像でも飾っておけ」などと主張すれば、婆娑羅として格好がつくかもしれないが。

*1:色々な意味で閲覧注意。http://wiki.livedoor.jp/dosukono/d/FrontPage

*2:ちなみに南朝後醍醐天皇は最も現実の政治に介入していた天皇の一人だが、そうして同時代に実在した当時は不都合な存在として貴族からも煙たがられていたりしたらしい。http://togetter.com/li/117067

*3:ここでは『週刊新潮』が批判されているが、けっこう宮内庁も勝手な主張をしているよう感じることは多い。

*4:足利尊氏の執事。昔から不評な人物であり、江戸時代の刃傷沙汰を室町時代の出来事になぞらえた『仮名手本忠臣蔵』では、吉良上野介に擬せられた悪役となっている。