法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

王政復古な維新の会

大日本帝国憲法復活請願 「東京維新の会」が賛成

 橋下徹大阪市長の「日本維新の会」と連携し、9月に結成した都議会新会派「東京維新の会」(民主・自民を離党した3人で構成)は4日の都議会第3回定例会最終本会議で、現行の日本国憲法を無効とし、戦前の「大日本帝国憲法」の復活を求める時代錯誤の請願に賛成しました。請願は日本共産党民主党自民党公明党生活者ネット・みらいなどの反対で不採択となりました。

 請願は、天皇を元首として無制限に権力を与え、国民を「臣民」として、自由と権利を抑圧した大日本帝国憲法を美化。「我々臣民としては、国民主権という傲慢(ごうまん)な思想を直ちに放棄」して、日本国憲法を無効とし、大日本帝国憲法は現存するとの都議会決議を求めています。

 また、東京維新の会は、都内在住外国人への生活保護支給の減額・廃止を求める陳情に賛成しましたが、反対多数で不採択となりました。

さすがにここまで来れば、こうした笛吹きに踊らされて軍靴を響かせた戦前の事例を思い起こさずにいられない。補足的に書かれている生活保護についての態度もひどい。
請願書は赤旗記事で画像として公開されており、中途半端な歴史的仮名遣が時代錯誤感をいっそう強めている*1。「ソ連(ロシア)に奪はれた北方領土」という表現にいたっては、21世紀の請願書とは思えない。


ちなみに2011年の第179回国会においても、皇室典範について同工異曲な請願がされたらしく、参議院サイトに要旨が公開されている。
皇室典範(占領典範)に関する請願:請願の要旨:参議院

国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄して、速やかに占領典範と占領憲法の無効確認を行って正統典範と正統憲法の現存確認をして原状回復を成し遂げる必要がある。これによって、拉致問題、領土問題、教育問題、原発問題などについても原状回復による解決が図られ、祖国の再生が実現し得る。

風が吹けば桶屋が儲かると主張しているようだが、こうした法螺を吹いても一部層への売名にしかならないだろう。


これらはすでに、単純に笑ってすませられる段階ではないと思う。
自らの主権を返上し、天皇に返そうとする主張は、半年ほど前にもインターネット上で見かけたことがある。それは愛国者向けSNS「my日本」の参加者が作った比較表で、「天皇陛下にのみ主権がある」ことが大日本帝国憲法の長所であるかのように記述していた。
5分で分からない!主権返上を目指す会 - 法華狼の日記
大手SNS発とはいえインターネットにとどまっていた主張が、前後して国政や都議会へ請願されるまでになった。そしてこうした主張は、現在の与党や野党第一党に所属する政治家にも、まれに見られる。
それらの政党も都議会等で反対に回ったことから、すぐさま同種の改憲がなされることはないだろうが、やはり注意ははらうべきだろう。