『SHIN-MEN』感想を探していた時に知り、あまりに若すぎる死に愕然とした。
闘病生活を続けていたこと自体、初耳だった。
アニメ監督としての代表作は未完の傑作OVA『おいら宇宙の探鉱夫』か、前任の神田武幸監督が制作途中で亡くなられたため引きついだOVA『機動戦士ガンダム第08MS小隊』*1だろうか。個人的には後者への思い入れが強い。担当した後半からは映像の密度が一気に上がり、それまでロボットアニメをさほど手がけていなかったがゆえの様式に囚われない演出技法が架空の戦場に実在感を与えた。名も無き兵士達だからこそ死を前に軽くふるまう姿を描いた前半も悪くはないが、OVAとしては映像に力がなかったことも事実*2。
宮崎駿監督の薫陶を受けた*3作家として珍しく、その暗黒面まで受けついだところが個性となっていたとも感じる。マンガ『機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム』では独特の絵柄に加え、泥臭く血生臭い戦場を生き抜く人間の姿を突き放した目線で描き、漫画版『風の谷のナウシカ』を良い意味で思い出させてくれた。
引継ぎ作品でもマニア人気の高い原作でも自分の色へ染めてしまったため*4、批判されることも多い監督ではあったが、アニメ演出家として特筆されるべき才の持ち主だったと思う。たとえばWikipediaにも掲載されていない『BETTERMAN』の絵コンテなど、アニメでホラーを描くために細部まで心を配り、印象深い回にしあげていた。
活躍の場が少なかったことが残念でならない。