法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ハートキャッチプリキュア!』第26話 勇気を出して!友達になるって素敵なんです!!

キュアマリンに突っ込んでおくと、クモジャキーは思慕をバカにして利用しているのではなく、そこはクモジャキー自身がバカだから真面目にアドバイスしているつもりなんだと思うよ。思えば、マンガ的ヒーローに対するここまで正面からの皮肉を女児向けアニメで見たのは初めてだ*1。逆にいうと、男児向けアニメや特撮では、視聴年齢層を考えない作家がやりたい放題に暴走しているという問題でもあるが。よく見ると友情のありかたの多様性を主張しているだけであり、実はクモジャキーが望む拳の友情を全否定しているわけではない、というところがこの作品らしくて良かったのではないかと。
生徒会長も苦手なものがあるというオチではなく、あくまで完璧超人として描きながら、浴衣を着るという季節感をいかした描写で関係の逆転を描くという技巧も目を引いた。完璧超人の弱点を描くというのは、面白いと同時にパロディ的な安易さでもある*2。性格を壊さず物語を展開して見せたことは、シリーズ後半に崩す機会を残したわけで、キャラクター延命としての意味も大きい。
しかしプロデューサーの意向とはいえ、さすがに海に入って誰も水着を着用しないのは違和感が大きい。露出度の高さが問題になるのなら、日焼けを防ぐためと称して大きなTシャツを羽織って身体の線を隠すとか、競泳やスキューバに使うような全身を覆う水着を使うとか、回避する方法はあると思うのだが。


演出は岩井隆央で、作画監督ポール・アンニョヌエボとフランシス・カネダの連名。映像としては、ごく普通にまとまっていた。いや青空にコブラージャとか色々ネタはあったが、演出家の判断かどうかは不明だ*3。それでも、デザトリアンがデザインを活かした攻撃をしていて、飛び道具を発するポーズが面白かったりは、演出家の功績だろうか。
ただ、生徒会長が攻撃を後回りしながら避けるカットは、作画のタイミングが遅いこともあって、格好良くなかったな。敵が飛び道具を発する場合、素直に走って逃げる演出で良いと思うよ。


あと、今回の脚本担当である井上美緒ブログを見ていたら。
http://ino-mi.jugem.jp/?eid=49

歌の方は、ハトプリの女性スタッフさんがバックコーラスに参加してるんじゃないかな?私にも参加のお誘いが来てて、行きたかったのですが、仕事で断念しました。ゴスペルしたかった……

何ということだろう。するとプリキュアEDのコーラスには伊藤智子、奥山美佳、ひょっとして松本理恵といった女性スタッフの声が入っているのか……

*1:むろん、私が無知ゆえに先例を知らない可能性が高い。

*2:あまり欠点を描きすぎると、平均化されるか両極端化されてしまい、完璧に見えるというキャラクター性が失われがち。かつて、映画ドラミちゃんに欠点を設定しようと提案したアニメ監督に対し、藤子・F・不二雄が熟考した後に優しく否定した逸話がある。

*3:少年が妄想で変身したキュアファイヤーは脚本から消されていて、演出担当した地岡公俊が復活させたということがスタッフのブログで明かされていた。