今回は父の日SP。パパをめぐる話であると同時に、雨に悩まされるという梅雨時にも合った原作選定がまず見事。
30分のアニメにするには短いので後半をふくらませるわけだが、原作にもあったスネ夫の描写を伏線扱いにして後半の独自展開へ組み込み、レギュラーキャラクターの活躍を増やしつつ自然な物語展開にしあげている。
接待ゴルフなのに、パパが勝負に勝てば仕事を回すと言い出す社長も面白い。『プロゴルファー猿』にでも出てきそうなキャラクターだ。ゴルフを強行する動機、少しの雨で接待が台無しになる理由、最後のオチにいたるまで、一人で後半の展開を引っ張った。
あと、原作では怒ったり湯船に隠れるだけだったしずかが、大自然で風呂を満喫するように改変したことにも受けた。いつものように肩から下は湯に沈んでいるが、足を湯船の外へ投げ出して太ももまで露出している。何とチャレンジャブルな。
脚本は構成の水野宗徳が担当。絵コンテは映画『ドラえもん 新のび太の宇宙開拓史』を監督したばかりの腰繁男。作画監督は三輪修。
映像も充実していたが、動画工房回ならではの柔らかくよく動く作画に手助けされていた感もある。引いた構図や俯瞰に煽りを多用しているものの、緊張感が抜けた絵も散見される。先入観なく見れば良い演出だが、劇場映画の次に作ったものとしては期待より薄かったな。
