法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『タイムスクープハンター シーズン6』CODE:900220 リベンジ 敵を討て!後編

今シーズンの最終回は、通常放映で初めての前後編。前編では、普段はタイムナビゲーターの古橋ミナミ隊員と分担し、復讐する側される側の2視点で敵討ちの実態を取材する。その前編で兄が返り討ちにあったため、後編では10年後の妹による敵討ちが始まる。
予告で少し明かされていたとはいえ、復讐対象の詐欺師としての超常性が凄かった。身勝手に善人を殺したり、守ってもらった家から金を盗んだり、釈明しようのない外道っぷりなのに、逃げた先々で不思議と信用を集めて助けてもらうことができる。つい最近のインターネットで、経歴詐称者が追及から逃げた後で新しく人気を集めているのを見かけたばかりなので、そういう者がいることには納得するしかないが*1
ミステリ好きなので真相には見当がついていたが、それが明かされるビジュアルの衝撃はなかなか。そのまま流れるように剣戟へと移行し、息つくひまもなく画面に釘付け。広大な庄内オープンセットを存分に活かし、屋内外を出入りしたりして変化をつける。
そして凄惨な敵討ちの虚しさをとおして、戦国から残る風習の非生産性を描ききった。ありきたりな結末は娯楽としての評価は低くなりかねない部分だが、やはり下手な爽快感を描くよりは良いと思う。あと、庶民の娯楽と化していた時代なども描いてほしかったところだが、それは後のシーズンに期待しよう。

『残響のテロル』10 HELTER SKELTER

ちらつかせている落としどころ自体は、意外と踏みこめるかもしれないという期待をもてた。よく似た社会問題をとりいれながら心情の変化を落としどころとした『輪るピングドラム』よりは、素材にした社会問題にもそれなりのけじめをつけそうではある。
しかし、この落としどころに向かうための伏線が少なく、余計な脇道が多すぎた。トリックスターのハイヴなど、そもそも魅力的に感じさせるべきキャラクターではなかったのに、登場まで期待を持たせすぎた。もっと結末から逆算するようなシリーズ構成にできなかったものか。
それに第1話の映像的な衝撃を台無しにするような無血テロがつづいているため、原子爆弾を持ちだしても緊張感が設定ほどは画面に生まれない*1。この動機なら、主人公ふたりに途中で人を殺させることだってできたろうに。たとえば無差別テロに見せかけて、アテナ計画の関係者だけを殺すというかたちで。

*1:姫が何度も死んだかのような描写をしておいて、最終回で似たような描写をしても2期への引きとして機能しない『アルドノア・ゼロ』とか、ちょっと今期は似た失敗が目につく。