法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』まんまとダマされたSP

今回の最初の映像集はどこかで見かけたようなものが多かった。ただゲジーネ・マーヴェデルのボディペイントアートは有名だが、映像で動いているところを見ると異化効果があって楽しい。
日本では珍しくなった一般人を巻きこむブラジルの過激ドッキリ番組は、ただひどい事件にあわせるだけで展開の妙がなくて、まったく面白味がつたわってこなかった。船上に爆発物をもちこんで客たちが水中に飛びこんで逃げる映像を見て何が面白いのか。そもそも溺れたりしないようフォローがちゃんとできているのか、できていなくても安全ならヤラセではないのか、といったことばかり展開の間延びもあって思った。


一方、同じく一般人を巻きこむイギリスのドッキリ番組は、さまざまな詐欺の手法を裏側から見せて啓発をかねたもの。
しかし薄型テレビくらいの家電製品を交換するといって店員と警備員になりすまして盗んでも、ふたり以上で売りはらって充分な対価になるだろうか。ホテルで善良な富裕層と二重契約して、ただで儲けたと思わせて急病の勢いで盗みだす手法も、救急車などの大勢の仲間を必要としているしホテルの監視カメラを考慮してもあまり旨味はなさそうに思える。
もちろん、そういう利益に対するコストを誤認させることで大がかりに騙すことが詐欺の手法のひとつではあろうし、そもそも全体的な安定した収支を考えるような人物は犯罪に手を染めないだろうけど……


最後に2005年に米国で発覚した驚愕の事件を紹介。手術後に謎の腹痛をうったえるフィラデルフィアの老婆と、遺体がなぜか縮んでいるブルックリンの葬儀場。となりあわせとはいえ州も違うふたつの出来事にくわえて、さらに不審なできごとがあちこちに起こる……
その真相は、移植につかうことが法律で禁止されている病気をもった遺体を、1000人分以上も隠れて解体したというものだった。もちろん遺族の同意もなく、必要な書類は改竄され、足をとりさった遺体にはプラスチックの骨格をくっつけてごまかす……そうして移植には適さない肉体が、欧米だけでなくカナダやオーストラリアや韓国に密輸され、被害者は25000人以上いるという。
驚きの大事件だが、傷つけたのは死体なので苦々しくもブラックコメディのような味わいがあった。しかしくわしい報道が当時されただろうと思って検索したが、日本ではWiredの翻訳記事しか見つからない。
遺体から無断で移植用組織採取、感染のおそれも | WIRED.jp