法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』神様のイタズラ2HSP

2時間SP。しかし公式サイトの細部タイトルがここまで省略する意味がわからない……
恒例となった声優ナレーションには佐倉綾音が参加。同じ放送局なので『僕のヒーローアカデミア』が紹介されたが、メインヒロインではありつつメインキャラクターという感じではない。
冒頭のミニ映像コーナーはちょくちょくフェイクの可能性を感じるものがあって、難しい時代だなと思う。もちろんヤラセ自体は昔からあったのだが。


モナリザがちょっと有名な肖像画を超えて、誰もが知る名画になったのは1911年の盗難事件によって。
現在は防弾ガラスごしの鑑賞となっているが、当時のルーブル美術館の警備はゆるく、写真撮影のため絵画をもちだすことも多くて、一昼夜たっても気づかれなかった。館内で模写していた人物がモナリザがいつもどってくるのか問いあわせて発覚したあたり、当時の美術館の雰囲気とモナリザの位置づけがよくわかる。
モナリザを盗んだ犯人として29歳のピカソが疑われる。しかしピカソルーブル美術館の別の盗難品を購入していただけだった……というが、盗難された美術品が若い一般人でも買えるあたりが、また時代を感じさせる。
そして盗難事件が新聞で大々的にとりあげられ、額縁がかけられていた壁に観客が押しよせる。ひどく風刺的な情報化社会のありようが興味深い。
しかしオチはしまらない。真犯人は当初に疑われた出入りのガラス職人で、上着に隠して盗んだだけで、本物を売ろうと接触してきてあっさり捕まった。当時すでにつかわれていた指紋による捜査も、その職人は調べていなかったという手落ちぶり……


ブラジルからは過激なドッキリ番組。一般人を巻きこむひどい裏切りドッキリが外国では今でもおこなわれているというパターン。
いつのまにかデモの先頭に立たされていて路地で警察との衝突に巻きこまれかけるドッキリは、そういうものなのかと色々な意味で思った。登場する一般人はすぐに第三者とアピールするが前後をはさまれ逃げられない。デモが国家の物語になっている国ではまた違った反応になるかどうか。
新発明の洗浄液を使用していたら、ニュースでその発明家が逮捕され、洗浄液をつかうと指がとれるというドッキリは演出がうまかった。あわてて手を洗い流そうと蛇口をひねっても水が出ず、洗面台をおおった布をとると中から複数の指が……という構成はけっこう感心した。


オランダからは大量の遺産が国庫におさめられてしまう前に、相続人をさがす番組。
老女から夫、子供、孫とたぐっていくなかでオランダの墓所などの文化がかいまみえる。そして一時期ホームレスで現在はリサイクルショップでボランティア*1をしていた青年に170万円ほどの遺産が手わたされた。
一般人が得するファミリーヒストリー的な面白さがあった。


世界各地のさまざまな鳥の巣を紹介するドキュメンタリは、標準的な動物ドキュメンタリとしてよくできていた。鳥の巣というテーマで物珍しさも出せている。
テリバネコウウチョウは大挙して樹木にとまり、マミジロマネシツグミを挑発して巣から遠ざけて托卵する。スタジオでカッコウの托卵が言及されたが、より大規模な作戦を群れで展開する光景はホラー映画のようでもあった。


イラクでは、2014年にジャーナリストが体験した奇跡を紹介。イスラム国による破壊活動がつづいていた当時、支援物資を投下するヘリに同乗することに。
しかしある日、たまたま物陰で横たわる少女スアドを見つける。病気らしい少女が気になったジャーナリストはヘリに乗ることをやめて、少女の祖父や両親とともに病院へつれていくことに。
そして乗るはずだったヘリは避難民が大挙してぶらさがろうとしたため墜落したと報告を受ける。しかしジャーナリストが少女のもとにもどると、祖父とともに姿を消していた。
このまま物語の一遍になりそうな奇妙な話だが、ジャーナリストはスアドの消息をさがしつづけ、ついに難民キャンプで再開。医療につなぐことに成功した。
スタジオではジャーナリストは自身で自身を助けたのだといった指摘がなされるなか、チョコレートプラネットの松尾駿が専門学校の修学旅行が中止になったことでテロを逃れられたと語る。しかし中止の理由が理事長のつかいこみというのは……

*1:雇用形態がよくわからないが、オランダの特殊事情があるのだろうか。