法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』マヌケな奴らが大集合! 全員逮捕だスペシャル

2時間SP。おおむね各国の治安組織を称揚する番組を集めていたが、外国なので客観的に見やすかったし、その温度差によって権力の妥当性をうかがえる構成になっていた。
特に、ニュージーランドの能天気な路上運転手と警察のゆるいとりしまりと、南米でのバイタリティあふれる庶民の密輸に対する検問の強硬ぶりという対比が面白かった。


ドキュメンタリーとしてはインド北部を恐怖におとしいれた人食いベンガルトラが出色。日本の三毛別羆事件をさらにスケールアップしたような出来事が、21世紀に発生していたという。
スマホを見るような現代的な若者がサトウキビ畑で行方不明になり、死体となった。トラの足跡を追って銃を手にした村人たちも返り討ちにあう。プロがチームを組んで捜索しても見つからず、離れた場所で犠牲者が出る。チームが捜索範囲を変えても、樹上の待ち伏せ作戦にうってでても神出鬼没のトラをつかまえられない。
ミステリアス・クイーンと呼ばれたその雌トラは、今も見つかっていないという。現在の年齢を推測すると寿命で死んだ可能性も高いが、また別のトラによる13人の犠牲者が出たというホラーオチ。
そもそも保護政策によりベンガルトラが増えたことと、人間が土地を開発したためトラと生活圏が重なったことが背景にあるという。根本的には人間の責任なのだ……


「ミステリーダイナーズ」は、従業員の不審な行為を雇用主の依頼で調査するリアリティーショー。今回はジッピーズ・ジャイアントバーガーズという個人店舗のマスコットキャラの不評を調べてほしいという。
手作り感あふれる着ぐるみのジッピーは、雇用主の信頼あつい社員の仕事として、待っている客の退屈をまぎらわせたり、商品の広告をおこなう。雇用主はその社員を信頼していて、どうしても不評が信じられないという。
隠し撮りしてもジッピーは元気いっぱいに演技して、子供も大人もそつなく楽しませ、新たな注文をゲットする。しかしジッピーが電話で呼び出されて帰ってくると、なぜか適当な態度で客を怒らせてしまう……
うすうす予想していたとおり、呼び出されてからジッピーの中の人が入れかわっていたという真相ではあった。しかし有能で好感のもてる本来の中の人は病気の親の看護のためクビになった従業員に代役をたのんでいただけで、そのクビになった中の人はただ無能なだけだというのは予想できなかったし、それでいてパズルのピースがおさまったような納得感がある。伏線や事件の規模を調節すれば本格ミステリに使えるかも。


他には、スリ老女に囮捜査をしかけて笑いものにする南米チリの犯罪者ドッキリ番組を紹介。
最後に北米の有名アイドルグループ「バックストリート・ボーイズ」のプロデューサーによる犯罪が描かれた。あまりにも音楽にうといので、この大ヒットしたグループについて名前すら知らなかったのだが、当時の売れ線ではなかったジャンルでグループを売り出し、ヨーロッパで成功させて期待感をあおってから北米に凱旋公演するといった手法で大成功する。
そんなグループの結成から売り出しまで主導したマネージャー兼プロデューサーがルー・パールマン。グループにはほとんど給料をはらわず、自身をグループの一員と登録して興行収入をまきあげる。
それで「バックストリート・ボーイズ」と決裂してしまうが、次に「イン・シンク」というグループを立ちあげて大成功。そして同じように給料不払いで決裂していく。
金の卵を産むガチョウを見つけて育てあげては、目先の金目当てに締めつけすぎて逃がすことをくりかえす。詐欺師ではあるかもしれないが、才能があることも認めざるをえない*1
しかし芸能界進出以前にもっていた飛行船会社などでも虚偽で資金をひきだす詐欺をおこなっていて、裁判で有罪となる。2016年に死去。芸能界のある側面を象徴するような人物に面白味を感じずにいられない。

*1:語弊をおそれずにいえば、レベルファイブの日野社長を連想した。