法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ボクを写して!めんくいカメラ/しりとりでネッシーに/かげがり

先代ジャイアン役のたてかべ和也氏が、放映前日に亡くなられた。
そこで番組でも追悼していたのだが、冒頭の本編にかぶさるテロップだったのが、物語を楽しむにはつらかった。せめて番組最後のOPにかぶせるようにできなかったものかと思う。
ただ、現ジャイアン役の木村昴氏との夢を昨年にはたせていた。そのうえでの旅立ちであっただけでも良かったかもしれない。

そういえば先週は、ジャイアンの誕生日イベント回だったか。


「ボクを写して!めんくいカメラ」は、美しくない顔は映らない秘密道具で、いろいろなキャラクターの美醜を判定していく。
原作は4頁と短く、インスタントカメラが貴重だった時代の作品でもある。3本立ての今回ですらアニメオリジナル描写が多めとなった。基本的には、スネ夫が映ろうとして必死になる展開でふくらまし、出木杉のクールな指摘で根本をひっくりかえす。美醜にこだわらない出木杉スネ夫の対比が、なかなか風刺的なオチで良かった。
作画は上下差がはげしいものの、見どころは多かった。特に序盤の階段まわりが芝居もレイアウトもうまい。コンテとして永居慎平監督が初参加。


「しりとりでネッシーに」は、しりとりでいったものになる秘密道具「しりとり変身カプセル」で、ネッシーがいるかのように見せかけようとする。
原作の別エピソード「ネッシーが来る」*1ではネッシーが実在する世界観となっており、大長編『ドラえもん のび太と雲の王国』ではネッシーを天上人が雲上へ保護した設定になっている。ドラえもんネッシー否定論を述べるにしても、もう少し工夫してほしかったところ。
物語の流れも弱くて、ころころ登場人物の目的が変わっていく。さまざまなものに変身すること自体を楽しむくらいしかできない。面白かったのは、「ん」で始まる言葉が必要になった時、出木杉を呼びだして「ンギリ」を教えてもらった場面くらいかな*2


「かげがり」は、秘密道具で影を切りとって働かせていたが、ドラえもんが注意した時間を超えると影が自我をもちはじめ、反乱をはじめる。
原作で印象的なホラーサスペンス回で、リニューアル後のアニメ化としては2回目。真夏のエピソードなので、少し放映が早すぎたかな。
これまでの映像化と大きく違うのは、影が移動する方法。普通は立体化して歩くのだが、障害をぬけたり高速で動く時、平面にもぐるようにする。ひょっとして話題のゲーム『Splatoon』のパロディだろうか。映像としては面白く、街角でスネ夫ジャイアンをすりぬける場面は印象的。ただそのためホラーの方向性がアイデンティティクライシスからモンスターよりに変わったのは好みではなかった。

*1:もともとは『ドラミちゃん』の1エピソード「公園のネッシー」だったが、単行本収録時に加筆修正をおこない、『ドラえもん』の一編となった。

*2:ジャイアン」ではなく「ごうだたけし」から変身するようにすれば良かったのに、とも思ったが。