原作ありの前半と、おそらく時事ネタなアニメオリジナルの後半と。
Aパートはアダプターを使って様々な雪を降らせる秘密道具が登場。のび太が雪合戦で勝利する経緯にアニメオリジナルの大砲を見せたり、アレンジがあちこちにほどこされていたが、基本線は原作と全く変わらず。
降雪で自動的に作られたはずの雪だるまの目鼻はどうなっているのか、雪のドレスで鎖骨やうなじが見えているのはなぜか、アニメオリジナルのビジュアルで見られる微妙な粗が気にかかった。わりと忠実にアニメ化していただけに。
Bパートは、スネ夫が尊敬するデザイナーの下で仕事をしようとしてミスし、ジャイアンの店でアルバイトするはめになる話。アニメ版のスネ夫はバイタリティが高めで、仕事をしながら思い上がりを修正し、成長していく。
剛田商店での仕事も、いかにも現代の雑貨屋らしく、店番は基本的に暇なところがリアル。こういう個人商店って、歳をとって移動が困難になった古馴染みの客向けの配達が基本だよね。接客をきちんと教える剛田母の態度も好感を持てる。
途中に出てきた婦人客が実はデザイナーで、彼女の再訪がスネ夫の成長を助けるところは予想通りの展開。いったん冒頭で部下の青年をデザイナー本人っぽく登場させているが、ヒカル・コシダというデザイナー名からコシノ家がモデルと気づいたので引っかからなかった。ただ、朝ドラ『カーネーション』の便乗というほどではなく、ちゃんと物語になじんでおり、そもそも藤子F作品も時事ネタが多いので逆に好感を持って見ることができた。
なお、コンテ演出は西田健一だが、やや映像の力が弱めだった。制作時期が映画と重なっていてリソースを食われたのかもしれない。