法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『勇者「魔王倒したし帰るか」』の感想

前半のシナリオ形式はまだいいのだが、後半に手記が始まった時点で首をかしげることが多くなった。
勇者「魔王倒したし帰るか」 - ゴールデンタイムズ
たとえば、勇者達が苦労して魔物を退治し、その肉を食らってかろうじて生きのびている場所で、なぜ普通に商隊が移動していたり、人間の生活している国があるのだろうか。
勇者が当初は極めて弱い状態で出発したのだろう等と、いろいろ読者の側が補って読むことはできる。しかしそのこともふくめて前ふりがほとんど存在せず、露悪的な設定が後付けで出てくる、いわば逆さまの御都合主義があからさまだ。
しかし後書きを読むと手記形式にする予定ではなかったそうで、矛盾は作者も自覚しているらしい。あくまで一般的な和製ファンタジーから推察される範囲にとどめ、その描かれていない部分の補助線や延長線を描いた時、このような物語になるという基準を守ってほしかったな。その意味では138番で描かれた出来事は良かったし、この世界観ならではな163番以降に出てくる国は良かった。