法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『トロピカル~ジュ!プリキュア』第19話 まなつパニック! 学校の七不思議!

学校新聞の七不思議企画に応募したトロピカる部は、さっそく洋館へ調査に向かう。怖がりな夏海は人形に話しかけられ、仲間にも隠れてお供え物をはじめることに……


脚本は第9話*1につづいての吉野弘幸。洋館の怪談を、コメディチックな作品から浮かせることなく、敵味方の知られざる交感として見せていく。
敵幹部エルダが墜落する場面で洋館を見せているため、人形の声の正体は見えすいている。それでもエルダとの戦闘はアバンタイトルで終わらせ、Aパートでは真相を見せずホラーとして雰囲気をたもって描き切った。そしてBパート頭で人形の正体を明かしてからは、エルダ視点で夏海の魅力を見せていく。
エルダを探しにきたのが敵幹部ふたりというのもいい。信念で協力しているのでも家族意識があるのでもなく、親身に心配しあう関係性。そんな仲間だからこそエルダが嘘をついて戦いを終了させた選択も重みがある。
そうして人形の正体が明かされないまま洋館が戦闘で崩壊して終わる。全体が人間視点では怪談として成立し、敵視点では味わい深いドラマになる、そんな二重構造をやりきったことが好みだった。


作画監督も第9話と同じく青山充だが、一人原画ではない。新必殺技などが登場するわけでもないのに、他に原画が二名ほど。序盤に口角をあげる絵柄の癖を感じたが、以降はそうではなかったのは原画に助けられたか。
演出は他社の制作進行からステップアップした野呂彩芳。新人によくある冒険が良くも悪くも少なく、奇をてらわず手がたいつくり。お供え物のくりかえしあたりはテンポが良い。
一点だけ文句をつけると、敵幹部が怪物化したショベルカーの印象づけの弱さ。洋館をとりこわす予定という場面で1カット映すだけでなく、以降も画面の片隅で何度が映しても良かった気がする。