法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ゴーストバスターズ2』

真面目に超常現象を再研究するイゴン、オカルト番組で司会をつとめるピーター、インチキヒーローとしてイベントにかりだされるレイモンドと助手……
世界の終わりを未然にふせいだ三人組は、数年後に違う立場で生活していた。しかしニューヨークの地下に異変がはじまり、ふたたび幽霊退治がもとめられる……


オリジナルスタッフ、オリジナルキャストをそろえて1989年に公開されたシリーズ2作目。

超常現象を対策できる技術力に展開的な説得力がなかった1作目*1と違い、歴史から消し去られたヒーローの再起として物語はオーソドックスによくできていた。
たかだか数年間で大異変と大活躍が忘れられている設定は、連続して視聴すると違和感がないでもないが、現実の社会で数年前の事件が早々に風化することを思えば矛盾とまではいえない。
高層ビルの最上部を爆発させた1作目の賠償や、勝手に退治しようとして警察につかまる前半、幽霊退治が虚言と疑われる裁判など、主人公が追いこまれて反撃するカタルシスは描けている。


しかし1作目からつづけて見ると、恋愛関係の変化に違和感がある。
イゴンと仲良くなりつつあった電話番ジャニーンは、特に別れ話もなくルイスと接近。滑稽な脇キャラ同士を安易にくっつけただけに見えて、ギャグならば笑えないしドラマとして応援もしづらい。ルイスは愚昧なりに真面目に裁判へ向きあい、後述のピーターと違って人間としての魅力は出てきたのだが。
最終的に救ってヒーローになったとはいえ根本的にクズなピーターが、シングルマザーのディナと恋仲になっていく展開も納得できない。ヒーローとして見直すことはできても、男性としての魅力がどこにあるのかわからない。女性に敬意をはらう男性として、きちんとピーターが成長していく描写がどこかでほしかった。
ディナの雇用主ヤノシュが、ディナに横恋慕しつつ敵の亡霊にあやつられて悪事をはたらいていくわけだが、その気持ち悪さをオネエ言葉キャラで表現していることも印象が良くない。表層的には完璧な男性で、しかし女性を一方的に利用しようとすることが問題……というキャラクターにするべきだったと思う。


さまざまな怪異が連発するホラーコメディとしての魅力も落ちていた。特に前半は勝手に乳母車が動いたり、肖像画が少し立体的になったりするくらいで、VFXの見せ場がほとんどない。せっかく大規模なセットで地下に流れるスライムを見せ場にして、冒険活劇として構成してほしかった。
生活から怪異が消えた主人公トリオを描くために異変をあまり描けないにしても、もう少しテンポ良く状況を動かしていってほしかった。さすがに後半からは当時最先端のVFXを連発して楽しませてくれるのだが。