法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『寄生獣 特別版』

寄生獣』の山崎貴監督による実写映画化第1弾。PG12指定された映画を金曜ロードSHOW!で放映するため、再編集をほどこしたとのこと。
金曜ロードシネマクラブ|日本テレビ
実際、予告映像で確認できた捕食シーンが削除されている。下記ブログによると、他にも捕食シーンや戦闘シーンの多くが削除もしくは短縮されているとのこと。
『寄生獣 金曜ロードSHOW!特別版』の感想~映画バージョンとの比較~ - 深津ちゃん応援ブログ
また、放映の翌日に公開される『寄生獣 完結編』から、いくつかの場面を冒頭と結末に引っぱっているとのこと。この放映枠では『20世紀少年』『GANTZ』でも同様の再編集を放映していた*1
パラサイトのモノローグが多用されているのも特別版のみだという。先の展開を明かしすぎだし、寄生生物の非人間的な感情が失われて残念だったが、さすがに本来の映画版では存在しないらしい。


さて、実写化としては一長一短。有名な原作を素材として、VFXを多用したスプラッターアクションを完成させたと思えば、それなりに許せるところはある。
映画2作に物語を圧縮するため、原作では一般人だったパラサイトAを警察官に設定し、戦闘の舞台を変えたのは悪くない。映画化と並行してTVアニメ化した『寄生獣 セイの格率』で、短期間に二度も学校が寄生生物に襲われた展開には、変化のとぼしさを感じていた。原作では偶然にすぎない主人公の母のパラサイト化も、それなりに物語の流れにのせたものになっている。ただ、教師のような職業につくことがパラサイトには珍しい以上、警察官として内部情報をえるのではなく、広川市長のコネクションから情報を集めたとするべきだったように思う。
登場人物をしぼるため主人公が絵を描いている場面を入れたり、主人公を母子家庭にして第1部のテーマを強調したりと、きちんと物語のアレンジにあわせて全体を整えている。


ただ、そうしてアレンジした果てのクライマックスは、あまり納得できなかった。原作でもパラサイトが肉体を制御できなくなる場面はいくつかあるが、そのオリジナルな伏線になる描写でもない。
主人公が母の愛を主観的に感じるのはかまわないが、もっと設定として納得できるものにしてほしかった。たとえば、実際は異なる性別に寄生したため肉体が制御できなかっただけだというミギーの推測を足せば、原作の設定をひろったアレンジとして一石二鳥だ。