法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』しずかちゃんがカッパに!?/ミチビキエンゼル

清水東脚本によるアニメオリジナルの前半と、相内美生脚本による原作に忠実な後半と。誕生日SPにリソースをとられたのか、全体として作画は弱め。


「しずかちゃんがカッパに!?」は、人魚に変身できる「スイムドリンク」を飲ませるつもりで、しずちゃんに河童に変身する「スイムドリンク」を飲ませてしまう。
キュウリを見かけるだけで河童になってしまう問題を隠すため、のび太ドラえもんは必死でフォローするという物語。原作の「おおかみ男クリーム」*1に似ているが、知らずにクリームを使ったママと違って、しずちゃんは事情を知っている。だから買い物などはドラえもんたちがすれば良く、展開の根本が成立していない。それに丸いものを見るだけで変身するような簡単さではないため、たびたびキュウリを見かける展開もギャグとはいえ無理やり。河童に変身してフォローするパターンも似通っていて、早々に飽きてしまった。
ただ、最後の最後に人助けのため河童に変身することを選ぶ展開と、その時の変身シーンを魔法少女のように演出するのは面白かったかな。たびたびキュウリを見かける無理やりな不運が、ここでは幸運に逆転したところも良かった。


「ミチビキエンゼル」は、いちばんためになる答えを指示する秘密道具が登場。その「いちばんためになる」というのが、実際には価値観の押しつけであるところがポイント。
有名な「どくさいスイッチ」と同じく、便利なように見せかけて教訓を与えるために出された秘密道具。しかし選択が意外な効果をあげるという展開の妙があり、やはり「どくさいスイッチ」と同じく、問題に直面するまでは娯楽として別個の面白味も用意する。前半と比べることで、後半の完成度がわかるというもの。
今回のアニメ化では、しずちゃんと遊ぶシーンで原作をうまくふくらまし、違和感を足していく。さらに時間経過を表現して、部品を探す描写を白昼から夕闇へと改変。のび太ドラえもんを救おうとする思いを強調していく。ジャイアンが乱暴を止めてミチビキエンゼルに気をとられる展開も、描写を足して自然にしようと工夫されていた。うまくアニメ化したものだと思う。

*1:2012年にアニメ化された時の感想はこちら。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20121019/1350746899