法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

空飛ぶ! 野比家のコタツ/強〜いイシ

今回のBパートは2008年に放映された話の再放送。特別企画でもない通常回で再放送されたのは、記憶ではリニューアル後で初。
Aパートもアニメオリジナルストーリー。早くも原作ストックが底をついてきたかな。リニューアル当初のように、一つの原作短編に補完描写を加えて30分に伸ばせば、もっと長持ちすると思うのだが……


Aパートはコタツに入ったまま何でもできるというオリジナル秘密道具から展開されるドタバタ劇。脚本は清水東
ネコ型ロボットのドラえもんらしい秘密道具と感じたが、本編で言及はなし。シンプルに欲望をかなえていくだけの秘密道具で、物語に起伏や意外性はない。誤った命令を出してしまって、秘密道具に拘束されてしまう展開はBパートと全く同じなので、なおさら新味が薄い。
作画も甘かったし、単に「こんなこといいなできたらいいな」という思いつきを見せるだけで、きちんと物語として構成できていなかった。オチの投げっぱなし加減は嫌いではないが、うーん。


Bパートは、当初の宣言を暴力的に貫徹させる秘密道具「強いイシ」が登場、のび太が望まぬレベルにまでジョギングを強要される羽目になる。記憶以上に出来が良くて、思わず放映時の日記を読み返してみたが、当時は毎話感想をつけていなかった。
さて、物語展開はほとんど原作通り。原作以上に様々な秘密道具を出して対処をこころみることでギャグ描写を強化しつつ、他の秘密道具を使えば簡単に対処できるのではないかという視聴者の疑問をつぶしていく。いったん途中で感動的に終わるかのような展開を、BGMや雲間から光が差し込む*1映像で強調しているところも、原作の勘所を押さえている。
全くのアニメオリジナル描写として、強いイシがロードローラーすら浮かべる力があると示すカットがある。これも使い捨てずに、直後に原作と同じ秘密道具対処をドラえもんが行う時の補完描写として拾っているところが素晴らしい。
ジョギングにあたって既存の3DCGによる街並みを活用しているだけでなく、のび太に突進していく強いイシの主観映像を新規の3DCGで用いているところも印象的だった。全体的に作画もまずまず。

*1:ジョギング前に原作通りの曇天描写があるので、その場だけのデフォルメ描写ではなく、ちゃんと物語と違和感なく繋がっているところもポイント。