一ヶ月ぶりの放映は、前半がアニメオリジナル*1、後半が原作ママ。来年の映画に向けてオリジナルヒーロー投稿企画もはじまった。
「22世紀のすてきなキャンプ」は水野宗徳脚本で、2期目が放映中の登山アニメ『ヤマノススメ』を思い出させるストーリー。
普通のキャンプが苦しい思い出ばかりだったことで、未来のテントで快適にキャンプしようとする。しかし近くでスネ夫やジャイアンもキャンプしていたことで、物語は意外な方向へ。
ドラえもんは内部が広々としたテントを出し、さらに高さを変えて景色を楽しんだり、食事は出前をとったり。しかし便利な道具を使ってショートカットすることで、早々に飽きてしまう。一方、スネ夫たちはオーソドックスにキャンプして、軽いロッククライミングをしたり、焚火でバウムクーヘンを焼いたりして、存分に楽しんでいる。
レジャー系の原作エピソードは、楽しむことを優先して秘密道具を活用し、ドラえもんも教訓を語らないことが多い。秘密道具を使わないレジャーでも楽しめるのだという展開は、実はアニメオリジナルならでは。そしてけっこう悪くない。ちゃんと未来のキャンプの刺激の少なさを表現できているし、対比されるスネ夫のキャンプは楽しそう。
「ポータブル国会」は千葉美鈴脚本で、アニメ化するたびに風刺性が話題になるエピソード。今回は消費冷え込みネタがシャレにならない。
好きなものが自由に買えないことをなげく主人公。いつもおこづかいをくれる北海道のおばさんも、最近は出費がかさんで来るのをとりやめたのだという。のび太は「消費税をあげるなんて、誰が決めたんだ!」と激怒する。本当にな。そこで自由に議案を通せる秘密道具を使って、消費税を一週間だけとりやめにしたり、こづかいを値上げさせたり、物価を十分の一にしたり。やがて自分勝手な法案ばかりとおそうとして、よく知られたオチにいたる。
複数あるアニメオリジナル描写も、風刺性を読みとれて楽しかった。たとえば、のび太のイメージシーンで出てくる国会に男性議員しかいない。政治の現状を象徴する風景ではある。ちなみに脚本家は女性だが、コンテ、演出、作画監督は全て男性なので、意図せずイメージがあらわれただけかもしれない。
さらに、しずちゃんと遊ぶため風呂の回数を制限する法案を出そうとして、しかし楽しみを奪わないためとりやめる。それで自由にしてあげたよといいにいったところ、「のび太さんのエッチ!」と水をかけられる。もともと自由であったことなのに、制限することをとりやめただけで感謝してもらおうとは厚顔にもほどがある……というギャグだが、残念ながら現実でもよく見る光景である。
他に、殴ったら殴りかえされる法案を出して、誰も他人を殴らなくしようとする。しかし一度でも感情的に殴ってしまうと、たがいに殴りはじめてしまい、歯止めが効かなくなってしまう。どちらかというと外政で見られる光景の風刺か。