法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『The Soul Taker〜魂狩〜』雑多な感想

新房昭之監督、渡辺あきおキャラクターデザインによるオリジナルTVアニメ。物故された鉄羅紀明がビジュアルディレクターとして活躍していたことでも印象深い。
WOWWOWノンスクランブルで配信されたオリジナルアニメの常として、意欲的な内容ながら売り上げは微妙な結果として終わった。
ニコニコ動画で公式配信されたタツノコプロダクション作品に入っていたので、久しぶりに視聴した。


作画が良いのは3話までで、以降は京都アニメーションが担当した回もふくめて、かなり粗いつくり。作画の見所は満遍なく入っているし、ニコニコ動画での最終回は修正した再放送版を配信していたので良かったが。
ステンドグラスの多用だけでなく、止め絵カットを使う場面も出崎統演出からの影響が見られる。だが、カット割りの早さで印象は大きく異なる。


物語としては、三すくみで組織や集団が衝突する度に、「おまえのせいかぁ! 京介ぇ!!」とそれぞれの集団が主人公を名指しするという構図ばかり。連続視聴するとギャグみたいだった。壮大なようでいて人間関係が血族と恋人に終始していて狭く、行動目的も生への渇望ばかりだから、1クールも続ける必要はなかったと感じざるをえない。
ただ、「エイリアン」の正体をめぐってのどんでん返しと、そこでラスボスの立ち位置が主人公の鏡像となる展開は悪くない。


殴られながら相手の矮小な動機を指摘して、敵を「人間」にひきずりおろす不死の主人公という構図は、今になって見ると新房渡辺コンビでTVアニメ化された『化物語』で頻出したパターンでもある。
設定が壮大に見えて動機は矮小だったと1クールかけて示していった『魂狩』は、好事家に印象を残して終わった。2〜3話ごとに、日常の異変から壮大な背景を語りつつも日常に回帰する『化物語』が大ヒットした。
新房監督は、かつてのオリジナル作品で見せたかった芯を残したまま、原作付きアニメという制約の中で、うまく広範に受け入れられるよう軌道修正できた、ということなのかもしれない。