東京都で強盗事件が連続し、匿名流動型犯罪いわゆるトクリュウによる犯罪として一課や特命係も参加する大規模捜査体制がしかれる。
しかし杉下はひとりだけ金銭をねらわれなかった都議の事件に着目し、都議におくられた怪文書にある会計問題の隠蔽が目的と考えた。
与野党をこえてばらまかれる助成金に、前都知事の焼死にともない当選した改革派の新都知事の沈黙と暗躍。特命係は捜査を進めるが……
真野勝成脚本による最終回SP前編。芸人から自己啓発本の出版をへて都知事になり、さらに国政を目指す一岡光は、東京都にかぎらず国内外のさまざまなポピュリスト政治家を思わせる。
また怪文書をきっかけとして会計問題が疑われていくところは情報隠蔽にからんで死者まで出した森友学園や兵庫県知事などを連想させる。しかし同時に、東京都を舞台とした開示請求や監査請求では、女性団体への攻撃を目的として行政に負担をかけていると裁判でも認められた問題を想起した。
暇な空白氏の活動を弁護士の神原元氏が記者会見で「リーガルハラスメント」などと論評したことに対しても、裁判所が真実性を認めたばかりだよ - 法華狼の日記
情報開示請求や住民監査請求が精神的苦痛をあたえる目的でおこなわれたことも真実と認められている。
森友学園にならんで疑惑が追及された加計学園では、かつて追及していた黒川敦彦氏が政界に進出しようとして迷走したあげく、完全な陰謀論者に堕して公職選挙法違反で逮捕にいたったこともある。ドラマでも、無党派の都知事が利権の分配だけで警察や野党まで巻きこむところは古典的な陰謀劇だ。
すべての助成金が詐欺ではなく必死にやりくりしている団体もあることは言及されているが、現在のトランプ政権のように弱者切り捨てにつながる小さな政府志向を感じた。高校生まで子供の代金を無料にする男の描写も、慈善団体への不信感がありそうだ。
黒塗りの公文書に対して、情報公開させることの正しさを特命係が重視して疑わない。それはそれでドラマとして正しいとは思うのだが、あまりにも留保をいれないので逆に後編でなんらかの逆転がありそうな可能性も感じる。
今回に引っかかったところに説明がつくのか、それともこのドラマのTVSPの通例として意外と工夫なく終わってしまうのか。いったいどちらになるだろうか。