法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『天幕のジャードゥーガル』のアニメ化で原作者と制作者が密に連絡をとっているというエッセイ漫画

 原作自体は以前に少し読んだことがあるだけだが好印象だった。制作会社サイエンスSARUも、湯浅政明監督のための会社と思いきや完全に別スタッフがつくっている近年の作品も意外なほど内容が充実しつづけ、日本の商業アニメのなかで特異な位置にあるので期待はしている。
『天幕のジャードゥーガル』公式サイト | 2026 年テレビ朝⽇系にて放送
 それはそれとして、原作者のSNSで制作スタッフと細かくやりとりをして疑問をぶつけられているエッセイ漫画が描かれていた。放送前ということもあってか具体性ははぶいているが、ここ最近の原作とアニメの関係にまつわる話題を思い出した。


アニメの考証がすごくて焦りを感じましたというエッセイ漫画です。
アニメ化、安心して楽しみにしてほしいです!!私は安心して楽しみにしてるので
#天幕のジャードゥーガル
エッセイ漫画の1頁目。原作者のあいさつとモンゴル帝国を題材にした自作紹介、自作を架空のメディアミックス作品と設定していた時のアニメ会社によって現実にアニメ化されたという話。エッセイ漫画の2頁目。アニメ制作側が細かくメールで質問し、答えていく原作者。アニメ制作側の指摘が原作者の想定を超えていく。エッセイ漫画の3頁目。あわせて原作を修正するくらいていねいにアニメ化されているという報告。アニメ放送が2026年ということや原作プレゼントキャンペーンの告知。

 もちろんエッセイ漫画は原作者による要約で実際のやりとりそのままではないだろうが、アニメ制作者が疑問をもった時に「構造がおかしいような」といった表現をつかうことを原作者は必ずしも問題視せず納得すらすることがわかる。
 もちろんこのエッセイ漫画を読んでアニメスタッフが失礼だという読者の反応もない。原作の描写そのものへの批判ではなくアニメ化する時に「ノイズ」になるという改変理由の説明が反発されているインターネットとは別世界のようだ。
一般論として、『セクシー田中さん』のようにメディアを変えるなら物語も変える必要があるし、『ぼっち・ざ・ろっく』もふくめて脚本家に映像に意見する権利はあっても物語を決定できる権限はない - 法華狼の日記
 もっとも、タイミングや作品ジャンルが違っていたり、なんなら女性の煽情的な衣装デザインへの疑問であれば、アニメスタッフへの反発があったのかもしれない。過去のサイエンスSARU作品でも、もともと愛国心に冷ややかな原作者の作品をアニメ化した時、特定の描写をもって「反日」作品だという反発があったものだ。
Netflixで配信開始したアニメ『東京沈没2020』が、災害で荒れる群集を描いた反日作品あつかいされている - 法華狼の日記