マイナンバーカードの事実上の強制に動いた人々は、急いで診察してもらいたい状況でマイナンバーカードの暗証番号入力にてまどるような経験はないのかもしれないが。タッチパネル方式になると指のまがった老人ではねらったところを押せないし、押しても反応しないことがしばしばある。
顔認証システムにしても、システムそのものの信頼はさておくとしても、新型コロナ禍の記憶も新しくインフルエンザが爆発的に流行した現在を思えば、短時間でも病院でマスクをはずすことに抵抗がある。
……ということを実感する出来事が最近あった。
一応、マイナンバーカードの利便性をもとめる意見そのものは否定しない。しかし、さまざまな機能をひとつのカードに集約することが秘密を保持する必要性をあげているともいえる。
既存の保険証を廃止する理由として不正利用をあげる意見があり、その根拠となる不正利用の統計すらないという反論もあるわけだが、そもそも医療にアクセスしたい状況の喫緊性を考慮すれば窓口での不正の可能性を許容するべきではないか、と思った。1%にもならない生活保護不正受給をふせぐために受給する資格のある半数以上をこばんでいる社会では難しい話かもしれないが*1。
せめて医療保険を利用する頻度が高い人のためにも、もっと機能を分散して手続きが簡略な保険証という形式は残すべきだろう。まさか医療保険を利用する頻度が高い老人や障碍者ほど医療から遮断したいと考えているわけでもあるまい。