法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

入管問題をテーマにしたNHKドラマ『やさしい猫』に対して、自民党現職議員の矢口やすゆき氏も圧力をかけようとしていた問題をあらためてふりかえる

入管問題をテーマにしたNHKドラマ『やさしい猫』に対して、政治家が圧力をかけようとしていた問題をふりかえっておく - 法華狼の日記

 吉川英治文学賞を受けた同名の小説を原作とする『やさしい猫』は2023年6月から放映され、9月25日に再放送された。
www.nhk.jp


 これに対して、元経産相で元自民党菅原一秀氏がツイッターで問題視していた。

 大臣だったとはいえ議員辞職して離党したなら、客観的には政治家ではないかもしれない。しかし本人は引退を表明したわけではなく、現在も政治活動をつづけている。

 上記エントリでは他に日本保守党をたちあげた有本香氏を紹介したが、どちらも現職議員ではないので「政治家」ではないのではないかという指摘がいくつかあった。


 実はエントリでは補足として、あまり注目されていない政治家の存在も紹介しようと思っていた。別のNHKドラマに現職政治家が圧力をかけた問題*1を機会に、ここで紹介しておく。


家族の絆と不法滞在を天秤にかけ同情を誘うやり方は卑怯。義務を果たさず人権を訴え、それがまかり通る世の中は健全と言えるでしょうか。公共放送=国の指針と見る国内外の視聴者もいるでしょう。公共放送で流すべきではない。
#人権 #税関 #不法滞在 #NHK


 ドラマ以上に話題になった「あいちトリエンナーレ」に対しても、当然のように表現の自由の範疇をこえると主張して、誰かを傷つけるものは芸術ではないかのようにツイートしていた。


本日の議会にて、あいちトリエンナーレなど表現や芸術の自由についての質問がありましたが、これらは自由の範疇を超えており、プロパガンダ(特定の思想へ誘導する意図を持った行為)です。誰かを傷つけるものが芸術と言えるでしょうか。
#杉並区議会 #議会 #あいちトリエンナーレ #プロパガンダ

 注目された「表現の不自由展・その後」以外に出展された作品にも強固な政治的メッセージを出す作品が多数あったように、むしろ「特定の思想へ誘導する意図を持った」作品こそ芸術の本分だろう*2
 ちなみに、かつてよくあった実録映画のように銃殺犯をモデルに即席でつくられた近年の劇映画『REVOLUTION+1』に対しても「表現の自由」を否定していた。こうした映画は政治家に眉をひそめられてこそ、という気もしないでもないが。


安倍元総理を殺害した山上をモデルとした元日本赤軍監督による映画が、わざわざ国葬の日に公開。それを大々的に喧伝する朝日新聞。ご遺族を蹂躙する行為は「表現の自由」ではなく人権侵害ではないでしょうか。
#朝日新聞 #偏向報道 #国葬 #国葬儀 #安倍元総理
www.asahi.com

 念のため、矢口氏はあくまで当選2回目の区議であり、良くも悪くも有力な政治家ではないとは思う。
 しかし元KADOKAWA宣伝マンというプロフィールをもっており、選挙において表現の自由を守りたいという思いへの賛同を表明したこともある。


久々に秋葉原へ。ラジオ会館前では、漫画家の赤松健先生が街頭演説中。出版業界に身を置いた人間として表現の自由を守りたいという思いに大いに賛同しました。限定冊子も頂きました。車とタスキは22日から痛選挙カーと痛タスキになるようで楽しみです。
#秋葉原 #アキバ #赤松健 #ラブひな #ネギま

 こうした矢口氏のふるまいは、自民党のなかからうったえる「表現の自由」の内実と限界を象徴していると思える。

*1:hokke-ookami.hatenablog.com

*2:津田大介インタビューへの反応を見るかぎり、ジャーナリストとアーティストの政治への距離感を逆に考えている人が多くないだろうか - 法華狼の日記で紹介したように、むしろ作品から独立するように表現の不自由を問いかけるという態度を「政治的プロパガンダ」として「表現の不自由展・その後」を批判する芸術家側の意見もあった。