先月末に、フランスで環境保護団体が排水への抗議のため水路に塗料をながしたという話題があった。
【もはやテロ】フランス・コルマールで、過激環境活動家が抗議運動のため水路を緑に染める → 魚が大量死・市長激おこ「ごちうさの聖地が…」「ハウルのモデルが…」 - Togetter
彼らの目的が環境保護「ではない」のが明白ですね(納得)
たとえば上記のTogetterには「【もはやテロ】」とタイトルで強調され、まとめた「55gentaro@gentaro_55」氏自身の説明でも環境保護が目的ではないことが明白とされ、朝日新聞社の国末憲人氏などによる魚が大量死したというツイートが引いてある。
フランス東部の観光都市コルマールで、環境過激派が抗議運動のため水路を緑に染めたところ、多くの魚が死んだ。
— 国末憲人 Kunisue Norito (@KunisueNorito) 2023年9月18日
市長激おこ。https://t.co/3zASCIjcRo
フランス東部の観光都市コルマールで、環境過激派が抗議運動のため水路を緑に染めたところ、多くの魚が死んだ。
市長激おこ。
それを信じてコメント欄でも同調する意見がつづいていたが、「哲学的会計士@AnteaterTamerAC」氏が実際の記事には違う情報が書かれていることを指摘した。
記事を読む限り、自称環境活動家は自らが川にぶちまけたのはフルオレセインと主張している。これは基本的には無害(シカゴ川なんか毎年盛大にぶちまけられている)な薬品で、魚が大量死するようなものではない。彼らが実際にはフルオレセイン以外の薬品を使った可能性もあるが、染色と魚が浮かんでいるのは無関係である可能性も十分考えられる。これは続報を待つべきフェイズで、きちんと吟味せずに嬉々として飛びついてる人は「汚染水」で煽られている輩をばかにできないぞ。
さらに続報によると、塗料を流すパフォーマンスの是非とは別に、つかわれた塗料は魚を大量死させるものではないという。
フランスで環境団体が水路に緑の塗料を流した件で「魚が大量死した」というのは事実でない可能性。塗料は本来無害で、水路の調査などにも使われるもの。当局が確認した死んだ魚は10匹程度だが、一部は塗料が流される前に見つかっているという。https://t.co/I5RGcpBpta
— ネット上の情報検証まとめ (@jishin_dema) 2023年9月20日
フランスで環境団体が水路に緑の塗料を流した件で「魚が大量死した」というのは事実でない可能性。塗料は本来無害で、水路の調査などにも使われるもの。当局が確認した死んだ魚は10匹程度だが、一部は塗料が流される前に見つかっているという。
仏コルマールの水路に環境保護団体がグリーンの蛍光塗料を撒き散らす 「ハウルの動く城」「ご注文はうさぎですか?」モデルの街(1/2 ページ) - ねとらぼ
コルマールの市長であるEric Straumannさんは自身のFacebookで「事件発生から24時間以上が経過しても、水生生物への影響が確認できている」「夜中の豪雨にもかかわらず汚染は続いている」と、水面に浮かぶ魚の死骸や水路の様子などを伝え、団体の行動を強く非難しつつ「犯人に法的な手続きを行う」と表明しています。
団体は塗料は水路の調査などにも使われるもので、生物に対して無害であり、影響はないと反論しています。
また、事件から数日が経過して、海外メディアでも検証が進んでおり、塗料は無害であり、水生生物の死と因果関係を疑問視する専門家の声が報じられています。
【UPDATE】2023年9月21日、情報提供を受けて海外報道と団体声明文を元に記事をアップデートしました。
こうした続報に対して、無害だからといって許されるものではないという意見や、本当に無害なのか根拠を出して懐疑するコメントがTogetteについている。それ自体は必ずしも間違いではない。
しかし、ならば抗議の対象となった排水や、原発由来の「処理水」への拒否感も理解できるだろうという気分になるが。気分。
寺田寅彦 小爆発二件
「なになんでもないですよ、大丈夫ですよ」と学生がさも請け合ったように言ったのに対して、駅員は急におごそかな表情をして、静かに首を左右にふりながら「いや、そうでないです、そうでないです。――いやどうもありがとう」と言いながら何か書き留めていた手帳をかくしに収めた。
ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた。