日本では近現代の国家犯罪が論争になりがちだから気づかれにくいが、たとえば騎馬民族征服王朝説などは左翼の歴史修正主義だったように思う。
マジレスすると思想の左右より精神性で好悪が分かれる。 あと、反差別、反貧... - サヨクとウヨクどちらが嫌いですか? - 亜門大介 - はてなハイク
サヨクとウヨクどちらが嫌いですか?
マジレスすると思想の左右より精神性で好悪が分かれる。
あと、反差別、反貧困、反歴史修正主義などは思想の左右の問題ではないのに、それらをサヨクと呼ぶ人々については、その人々自身の思想に問題があると思う。
by D_Amon 2010-05-05 09:29:26
好き嫌いの話でいえば、基本的に私は左翼が嫌いである。価値観が近い異論にこそ感情的には反発をおぼえる。価値観が違うのなら、異論が出ること自体には納得ができる。
実のところ、たいていの左翼はけっこう右翼が好きなものである。たとえば半藤一利氏や野中広務氏などは、左翼にモテる右翼の代表だろう。その感覚に加えて、「戦略が悪い」を反転した共闘路線が、金光翔氏の提唱する「佐藤優現象」*1を生み出した一因ではないだろうかとすら思っている。
そもそもid:D_Amon氏が「精神性」へ言及しているように好き嫌いと正しさは別だ。右翼や左翼も、基本的には正しさとは異なる基準で存在する概念だ。派生した文脈を持つらしい「サヨク」「ウヨク」となると、明確な共通理解すら存在しないのではないだろうか。
それゆえに、当該ブックマークのid:y_arim氏による「自称中立」という言葉の使用法には、やや疑問がある*2。回答している時点で何らかの党派性に組み入れられるという指摘は正しいと考えるが、二者択一の問いに異なる角度から回答することは必ずしも不誠実ではないのではないか。
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y_arim hatena haiku みんな気づいていないようだが、選択肢が二者択一の問いに「ウヨクもサヨクも」と答える時点で不誠実だし自称中立みたいだろう。//id:KIM625 だが質問はすでになされた。不誠実な設問には回答しない自由がある。 2010/05/05
あらゆる発言が党派性や政治性から逃れられないことへの無自覚な態度は、一部で「自称中立」と呼ばれる。ここで重要なのは、発言者の意図にかかわらず、発言の政治性が読まれ、党派性の中に位置づけられうるということ。つまり発言者の意図は絶対的な基準ではない。差別の意図がない発言でも差別性を批判されることがあるように、発言と読解の両方が組み合わさることで党派性が生みだされるわけだ。
二者択一の問いに対して一方を選んだ回答の内に、党派性の絶対的な基準が把握できるという前提がもし隠されているのならば、その回答で質問に応じたことこそが不誠実といえる。
また、対立する思想をわかつ基準は、悪魔でもなければ特定が不可能である。たとえば科学的な真実があると仮定し、対立する存在として偽科学を想定する場合、少しでも偽科学へ理解を示す態度*3は偽科学へくみしていると判断しうる。
そして科学的な真実自体も特定が困難である以上*4、「サヨクとウヨク」をわかつことが自明的に可能であるという発想をするのであれば、それこそ仮想の中心を確定できると思い上がった「自称中立」へ繋がる態度に他ならない。
誠実であるがゆえに、自身の党派性を判断できないという場合はあるだろう。その不確定さを自身の正しさや無党派性と取り違えさえしなければ、自称中立と呼んで批判する必要はないと思える。
先述したように、右翼や左翼は正しさとは異なる基準だ。
ゆえに党派性が見いだせたとしても、必ずしも批判されるべきことではない。対立する党派性の中間で、どちらにもくみしない中立もまた、必ずしも批判されるべきことではない。
「自称中立」という言葉で批判されるのは、「中立」的な態度の全てではあるまい。
批判されるべきは、党派の中間と正しさが同一という誤解から中立に自称する価値があるかのような思い込みであり、対立する党派の両方にくみしない中立を標榜することで無党派性が獲得できるかのような思い違いであり、他者の党派性を見いだして非難の理由としながら自身の党派性を見いだされることを拒絶する身勝手さだろう。
*1:http://watashinim.exblog.jp/5545256/
*2:「自称中立」という言葉が最近に作られた造語である以上、どのような使用法が正しいかは確定できない。このエントリはあくまで「自称中立」という言葉の持つ文脈を、私が知っている範囲で説明したものと理解してほしい。
*3:ここでいう「理解」とは、誤っている一部分に賛同しつつ、他の誤りは批判する態度のこと。誤った主張を信じてしまう人間への、不完全性に対する理解という意味ではない。
*4:確からしいことが科学的に認められた説が、とりあえず他の説に優越することは間違いない。しかし対立する説が同程度に確からしいと判断されているような場合もある。