法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

今さらながら7月の朝日社説について

すでに元記事は消滅しているが、南京事件の被害者数中国説についてと日中関係について、朝日新聞が以下のような社説を出していたらしい。「痛いニュース」の抜粋から一部強調、改行位置を変更して引用する。
痛いニュース(ノ∀`) : 【社説】南京大虐殺の犠牲者数30万人、いくら何でも多すぎないか…朝日新聞 - ライブドアブログ

残念な世論調査結果がある。米国のピュー・リサーチセンターの今春の調査によると、中国を「かなり嫌い」「どちらかと言えば嫌い」とする人が日本では67%にのぼった。調査の対象となった47カ国・地域で最も高かった。同じように中国人にも日本を嫌う傾向が強い。
今年は、日本と中国が国交を正常化して35周年にもあたる。盧溝橋事件からの70年間の半分は、関係正常化の年月でもあったのだ。それなのに、こんな数字が出てしまうことを私たちは深刻に受け止めなければなるまい。
政治の役割は大きい。安倍首相になって、両国関係が修復の方向に動き出したのは歓迎すべき動きだが、もう一歩、勇気を持って踏み出せないものか。
例えば、南京大虐殺をめぐる論争を建設的な方向へ押し出す。犠牲者数について中国は30万人と主張するが、いくら何でも多すぎないか。一方、あれは虚構だと言われれば、中国側が反発するのは当然だ。両国の歴史共同研究で冷静に検討が進むことを期待したい。
そうした中で、日本の首相が南京を訪れてはどうだろう。小泉前首相や村山元首相は在職中、盧溝橋の抗日戦争記念館を訪れた。論争は専門家に任せ、現地を訪ねて慰霊する。中国の人びとからも、国際社会からも歓迎されるはずだ。(抜粋)
http://www.asahi.com/paper/editorial20070707.html

「いくら何でも多すぎないか」という表現には少し疑問があるが、歴史学から見て極端に間違った意見ではない。朝日が会社全体で30万人説を強く主張していたこともないので、考えを変えたというわけでもない。
そして社説関連でついた2件のブックマーク。特に不思議なコメントのみを抜粋。
はてなブックマーク - http://www.asahi.com/paper/editorial20070707.html

# 2007年07月09日 nekomild 南京大虐殺に関する朝日新聞の最新見解→「30万人は多すぎ…」
# 2007年07月08日 konaze media, *資 朝日のことなので、どういうつもりか分からんしコメントなし。静観。

はてなブックマーク - 痛いニュース(ノ∀`) : 【社説】南京大虐殺の犠牲者数30万人、いくら何でも多すぎないか…朝日新聞 - ライブドアブログ

# 2007年07月10日 ch1248 2chまとめブログ, マスコミ, *資料 方向性を変え始めたんだろうか。
# 2007年07月09日 alharascholar 政治, 朝日新聞, 歴史, 中華人民共和国, 戦争, 捏造 『朝日改心したのかと思いきややっぱり朝日というオチ』事実認定と謝罪を取り付けるために、ちょっと譲歩の姿勢を見せただけ。
# 2007年07月09日 guldeen マスコミ, 中国, 政治, 歴史, 特定アジア, 朝日新聞, china 本多記者のレポートが80年代に出るまで、これだけの規模の軍事衝突が知られなかったという事自体、そもそも胡散臭いんだけど。
# 2007年07月08日 castle マスコミ, 中国, 政治, 外交, 歴史, news, 気になる, 2ch 「1.29万ぐらいにしとけ。2.ちょばれそうだよ中国様。3.数の問題ではない、広義の虐殺の有無が問題なのだ。まー素直に取れないわな」「自分で火つけたくせにとんでもなく燃え広がったからいまさら鎮火活動かよ」
# 2007年07月08日 a1101501j 2ch, これはひどい, 特定アジア, マスコミ あったと言う事を認めさすための口実だろ。認めたらまたごねるぞ

通説の立場から南京事件に強くコミットしている人があまり目立っていない。むしろ、朝日新聞が30万人犠牲者説を強く主張していたかのように考えているコメントが目立つ。
そもそも南京事件で犠牲者数を最大に主張していたのは中国国民党であり、そのからみで国内では産経が最多説を取っていた。朝日は基本的に通説にそおうとしているだけだろう。たとえば本多勝一は『南京への道』で43万人説から「100人や200人」説まで紹介し、著者本人は「時がたちすぎているが」と断った上で「10万のケタの大虐説」を最低限と主張していた*1


少し話は変わるが、こういったブックマークを見ると「はてなサヨク」などやはり実在しないのではないかと思う。
この種の記事に対するブックマークは、本来の意味での掲示板に近い雰囲気になっている。1人がIDを示しながら、1つの短いコメントを投稿するばかり。もちろんコメントの追加や修正をしていることも見られるが、掲示板やブログと比べて少ないと感じる。特に、連続投稿や主張の応酬、自作自演の類いを見ることはまずない。
ネットで目立つ保守論調の実体がけして多人数でないことを、はてなシステムが可視化しているだけじゃないだろうか。

*1:文庫版1991年3月20日第2刷、378頁。範囲を南京攻略戦全体の約三ヶ月においていることも注意