番組改編期恒例の、明石家さんまを呼んだ3時間SP。
「動物たちの不思議な行動」は、日本の不思議な巣をはる蜘蛛のクイズ。粗雑で隙間だらけで獲物をとらえられそうにない巣の正体は、クモヒメバチの幼虫が寄生し、狂わせて自分にとって都合のいい巣を作らせたというもの。
「衛星カメラが捉えた謎」は、通常番組での紹介と同じような作り。
エメラルドグリーンにそまったロシアの海について、ミサイル燃料の流出が疑われ、ロシア政府は否定したものの、こっそり科学者が調査するとフェノールが検出されたという。
前半のクイズはクウェートの砂漠で見つかった黒い無数の何か。石油のような液体を貯めた穴のようにも見えるし、スタジオでは昆虫と考えられて実際に写真を拡大すると黒が粒に見えてくるが、正体は廃タイヤの山だった。近くであがっていた煙も、石油ではなくタイヤが自然発火したものだった。
後半のクイズは1920年代にイギリスの飛行士がサウジアラビアの砂漠で発見した長大な石垣の謎。長さ6kmにもおよび、二つの石垣が細く近づいていった先端が囲いのようになっていて、その囲いの途中にいくつか空井戸がある。その石垣がつくられたのは7000年も前で、当時は水の流れる豊かな土地だったという。隣国ヨルダンの遺跡にガゼルの彫刻があり、石垣の空井戸の底からガゼルの骨が発見された。ガゼルが群れを成していた当時、石垣に追いこんで先端の囲いに密集させ、囲いを跳びこえて逃げるガゼルのいくつかが空井戸に落ちるという罠だった。文明の発達ぶりに驚かされる。スタジオで動物を追いたてて捕まえる罠というほぼ正解が出ていたのに、捕獲した動物のイメージがあやふやで信用されず、最終的に別の回答を選んでしまった展開も興味深かった。
「シロイルカはロシアのスパイ!?」は、2019年にノルウェーで見つかったハーネス付きのシロイルカを紹介。やけにひとなつっこいので、人間に飼われていた可能性がもちあがる。
ハーネスにロシアの都市が書かれていたのでロシアが調教したスパイイルカと疑われるが、それならば明らかにロシアにつながる文字など残さないと軍事評論家が否定する。
ウラジミールをもじってヴァルデミールと名づけられたシロイルカの正体ははっきりしなかったが、なぜか鳴き声をあげないという謎も残った。
クイズはヴァルデミールに聞かせると鳴き声をあげた映画音楽について。学者の娘が思いついたというヒントから、『もののけ姫』の主題歌だというスタジオの答えが正解になった。
「奇妙なカルテ」は、どの医者も治せない多汗症の女性について外交官の夫が医学論文を調べまくって頻尿の薬が効果ある可能性を見つけたりと、医学の限界と可能性を感じさせる内容。
クイズは2007年に体に虫がはっている感覚に襲われ、薬でも治らず頭を丸刈りにした男性の謎。歯の詰め物につかわれていた水銀が流れ出て感覚を狂わせていたという真相だった。
「古代史の謎を解明」は、デンバー自然科学博物館に長期間展示されている金持ちミイラと貧乏ミイラを調査したりする。金持ちミイラは服飾も豪華で内臓をていねいに処理しているが、貧乏ミイラは装飾もなく内臓をきちんと処理しておらず当時は無駄な器官と思われていた脳も手つかず。ホルスの息子の蝋人形も入っていない。しかしミイラの作られた年代が異なることが判明し、貧乏ミイラは金持ちミイラの約500年後、アレキサンダーに滅ぼされる直前のミイラ制作が簡略化した時代のものとわかった。そして貧乏ミイラから貴重な顔料が検出され、裕福な女性であり、副葬品は盗掘されたと考えられているという。
クイズはトルコ・パムッカレにあるヒエラポリス遺跡で、2013年に発掘された神殿で動物が生贄にされた時の不思議な出来事をクイズに。神殿にある洞窟に神官が動物をつれて入ると動物だけが死んだという。答えは火山地帯の洞窟ゆえに二酸化炭素が91%もたまっていて、呼吸する口の低い動物だけが死亡したというもの。スタジオが正解を出したくらいクイズとしては簡単だが、太古の神官が神秘を演出するためにトリックをつかっていたことは個人的に考えているミステリ小説に通じるところがあり、史実の一例として参考になった。
テーマははっきりしないものの興味深い情報の多い回だったが、終了後の鼎談は良くない。完全に老人の世間話になっていて、ドキュメンタリの感想戦などはおこなわれないし、スタッフが話の種に用意した食材をプレスする機械もまったくつかわれない。
北野武が映画監督として明石家さんまを詐欺師にした映画の構想を語るが、あくまで冗談であって作りこんだり映画人として踏みこんだ話をするわけでもない。